フランス・パリからセネガル・ダカールまでを走破する、世界一過酷といわれたラリー「ダカール・ラリー」(通称パリダカ)の2010年開催概要が11日に発表された。スタートは2010年1月2日。アルゼンチン・ブエノスアイレスをスタートし、チリ北部を経由して17日に再びブエノスアイレスに戻るという環状ルートをとり、2009年の南米開催を引き継ぎながらも、さらに過酷で難易度の高いコースが設定されるという。

第32回大会(南米開催2回目)のコース概要

まず、2010年度のスケジュールはこうだ。
2009年5月15日~7月15日
エントリー受付
2009年11月下旬
競技車両のヨーロッパからの輸送手続き
2009年12月30・31日
ブエノス・アイレスにて車検・書類審査
2010年1月1日
ブリーフィング、スタートセレモニー
2010年1月2日
ブエノス・アイレスからスタート
2010年1月17日
チリを経てブエノス・アイレスへゴール

南米初開催となった2009年は、参加台数500台(モト217台、クワッド25台、オート177台、カミオン81台)のうち、日本人競技者が11台で、同年完走を果たした日本チームとしては、ニコラ・ジボン/三浦昴組(オート部門)や、三橋淳/ブリューノ・カタレリ組(オート部門)、菅原照仁/鈴木誠一組(カミオン部門)、菅原義正/羽村勝美組(カミオン部門)などが名を連ねた。

カミオン部門で20大会連続完走の記録保持ドライバーである菅原義正氏を父とする菅原照仁氏は、2010年度大会で通算12回目の出場となる。照仁氏は、前回の南米大会について、「パリ・ダカール間のコースと違って、南米大会は、途中で何度か海が見えるところに違和感が少しある程度で、過酷であることには変わりない」と話す。

前年度との変更点のなかでも注目されるのは、砂丘ステージの増加だ。砂漠エリアでの高速走行は、クルマの圧倒的なパフォーマンスとドライバーの巧みな技術・戦略などを必要とするが、照仁氏は「砂丘コースは特殊。経験がものをいうエリアだ。難易度はだいぶ上がるが、我々は砂漠を得意としているので、なるべく砂漠が多いほうがこちらにとっては有利となる。砂漠が多く難易度が高くなればなるほど我々が上位に入る可能性が高くなる」と自信をみせた。また、アフリカとアルゼンチンの砂漠の違いにも同氏は触れた。「アフリカの砂漠はわりと平坦で右と左を見ながら低い位置を進めたが、アルゼンチンの限られた砂漠エリアには山の頂上まで登る部分もあったりして難しく、びっくりさせられたコースだった」と語った。

このほかにも、ライダーの選考基準の強化や、モトやカミオンなどカテゴリ別のコースを設定するなど、前回の反省点を踏まえた改善が施されている。

後列最右が菅原照仁氏。その左隣が照仁氏の父・義正氏

日野自動車とタッグを組む照仁氏は、現状について「2009年大会から採用しているミッドシップ・レイアウトによるマシンをさらに改良・熟成させる段階にきている。今後は上位を狙えるようにエンジンのパワーを上げるチューニングなどを行なっていくつもり」と話していた。

同大会主催者は「アルゼンチンとチリの歴史は、約200年程前から大量に移住してきたヨーロッパ人を抜きにしては語れない。2010年、両国は独立や革命から200周年を迎える。この記念すべき年とダカール・ラリー2010開催が重なることは、なんという偶然だろう」と語るが、果たして結果はいかに……。

新大陸で開催されるダカール・ラリー。南米大会2回目となる2010年(第32回)大会の出場者たちは、すでに準備を着々と進めている。