"子どもとケータイ"の問題を考える「ネット安全安心全国推進フォーラム」が1月31日、東京都千代田区で開催された。子どもが携帯電話を使うためのルールづくりをテーマに、「ネットいじめ」と現実のいじめの違いや、なぜ日本でケータイが流行するのかなどについて指摘。最後は「子どものケータイ利用は親がしっかり見守って」と呼びかけて締めくくった。

4人の現役学生も参加、率直な意見述べる

「ネット安全安心全国推進フォーラム」は、文部科学省とインターネット協会が事務局を務めるネット安全安心全国会議の主催。「子どもが携帯電話を適切に使うため、大人は何ができるのか」について考えることを目的に開催された。

第1部のセッションでは、有害情報意識啓発DVD「ちょっと待って、ケータイ」事例1の「メール依存(子ども編)」、事例2の「個人情報を狙う悪質サイト(保護者編)」を上映した後、さまざまな地域活動を行っているオフィスカクタス取締役の森川千鶴氏をコーディネーターに、現役の中高生らが参加するパネルディスカッションが行われた。

現役の中高生らが参加するパネルディスカッションが行われた

ディスカッションに参加したのは、慶應義塾高校1年の田中瞳さん、東京都立世田谷総合高校1年の林明日香さん、東京情報大学1年の日高祐介さん、戸坂女子短期大学2年の岡野文香さんの4人の現役学生。田中さん、林さんの母校である東京都大田区立大森第三中学校教諭の大山圭湖氏、武蔵野学院大学 客員教授の小暮祐一氏も参加した。

ディスカッションではまず森川氏が、学生らのケータイ利用について質問。「ケータイ利用について親と約束している事は? 」との質問には、「5,000円を超えたら自分のお小遣いから出す」「出会い系サイトには手を出すな」「料金プランが一番安いものを契約」などの約束をしているとの答えがあった。

「ケータイがなくなると困る点は? 」との質問には、「部活のメーリングリストが使えなくなる」「学校を休んだ友達にメールすると喜んでくれたりするがそれがなくなる」「暗い道を歩くとき家族に電話することができなくなる」「電車の乗り換え案内が使えなくなる」と回答。

「ネットいじめ」特有の問題についても指摘

ケータイを巡るトラブルについての質問に対しては、「周りの2~3人が2ちゃんねるに顔と住所をアップされた」「Cメールで架空請求が来た」「メールが長引いて朝から夜寝るまでやめられなかった」「劇団をやっている友達がサイトにプロフィールをアップしたら、知らないおじさんから外で『○○ちゃんだよね』と声をかけられた」などと回答した。

森川氏はさらに、ネットいじめについて、「ネットいじめと現実のいじめの違いはあるか?」と学生達に質問。

これに対して学生側からは、「現実のいじめに比べて、簡単にいじめる言葉が言えてしまう」「現実のいじめでは特定のグループがいじめを行うが、ネットいじめでは、そうしたグループに参加していない人でも参加できるため、いじめる人数が増えてしまう」など、ネットいじめ特有の問題について意見が示された。

この後、武蔵野学院大学の小暮氏が、小中学生の携帯電話使用に関する大学生の意見を紹介。また、「中学生のための中学生による中学生のための携帯ネット入門」を作成した東京都大田区立大森第三中学校の大山氏が、作成の経緯と目的について説明。

左から、オフィスカクタス取締役の森川千鶴氏、武蔵野学院大学 客員教授の小暮祐一氏、東京都大田区立大森第三中学校教諭の大山圭湖氏

その上で、第一部の総括として意見を求められた学生の一人は「ケータイ利用を制限されることで、子ども同士のコミュニティから孤立することもある。もし制限するなら、全ての家庭でやらなければならない」と問題提起。

別の一人は、「ケータイの利用はさっぱりしているほうがいい」などと意見を述べた。