厚生労働省研究班は4日、慢性心不全患者におけるメタボリックシンドロームの実態を全国規模で調査した研究成果を発表した。発表によると、慢性心不全患者に占めるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の人の割合は、国内の一般に占める割合に比べて2倍以上になるという。
研究は、以前より指摘されていた心不全発症とメタボの相関関係を科学的に裏付けるため、東北大学大学院医学系研究科 / 東北大学病院の下川宏明教授(循環器病態学)らのグループによって、2006年度から3年をかけて実施。国内6施設で、慢性心不全患者3,440人と、心機能障害はあるもののまだ症状が出ていない「予備軍」4,723人を対象に、メタボリックシンドロームかどうかを調べたもの。
その結果、既に慢性心不全を発症している患者におけるメタボリックシンドロームの合併率は38%(男性患者47%、女性患者20%)であり、一般に占める男性15~16%、女性1~12%という割合の2倍以上となった。同様に心不全予備群患者におけるメタボ率も41%と高い数字が現れ、「メタボリックシンドロームを放置するすることにより慢性心不全へと移行していく可能性が示唆された」とする。
研究グループは、「慢性心不全防止のためには高血圧、脂質異常症、糖尿病だけではなく、メタボ治療も重要。今後は食事・運動療法を取り入れ、治療効果を検証する」とコメントしている。