── 目が疲れても病院へすぐ行かず、市販の目薬を差すんですが、それでもいいのでしょうか?

若倉「一般薬は、サプリメントよりずっと科学的根拠があります。名称から健康食品のほうが安全性が高いと思いがちですが、一般薬は安全性が確認されたものしか使っていませんので、もっと安全です。その点を誤解している人が多いですね。医者が処方しなくていい薬ですから、安全性は確立されているし、しかも効果もある。私は使いやすいものであると思います。そういうものを上手に使うことはいいことだと思います」

「たとえば、ドライアイの軽い人は、眼科にいかなくても、そういうものを上手に使えばいいのです。眼精疲労も同じこと。ビタミンも上手に入っていたりします。目薬だけでなく、休むとか、環境を整えるとか、過剰にパソコンはやらないとか、セルフケアをやってみて、それでうまくいかなかったものは、眼科に行きなさいと、そういうことですね」

── 眼科の先生は、どう選べばいいのでしょう?

若倉「医者も人間です。自分に合う先生を探すことです。命令されるのが好きな人は、そういう先生を選べばいい。あなたが好きなようにという先生が好きな人は、そういう先生のところへ。幸い日本の医療システムは、病院も医者も自由に選べます。医者は患者を選べないが、患者は医者を選べるのですから」

(後編は、実際に気をつけたい目の病気について伺います)

若倉 雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院院長。神経眼科、ぶどう膜炎、視神経炎、レーベル病など視神経や眼球運動の異常を専門とし、最近は眼瞼下垂、眼瞼痙攣、ベーチェット病など、他施設で扱いにくい病気の紹介が多い。病院は身体異常だけみればよいのでなく、ロービジョン者の社会、心理的支援もするべきと「目の相談室」も立ち上げた。著書は「視覚障害者のストレスと心理臨床」「目は快適でなくてはいけない」「目力の秘密」など多数。 日本眼科学会評議員、Neuro-ophthalmology誌代表編集委員、日本神経眼科学会理事長、国際神経眼科学会理事。東京大学、北里大学非常勤講師。