東京・新宿のロフトプラスワンにて29日、トークイベント「オタク大賞R2」が行われた。年1回行われている「オタク大賞」のスピンオフ企画として、オタク版ニュースショーをコンセプトに今年から始まった「オタク大賞R」は今回で2回目。アニメ、マンガ、ゲーム、ホビーなどオタク業界の各分野で活躍している識者が揃い、縦横無尽にトークを繰り広げた。

前半の第1部では、今年4月から8月にかけて起きたオタク的事象の数々をピックアップ。「川内康範死去」「秋葉原露出アイドル逮捕」「『週刊ヤングサンデー』休刊」「『金色のガッシュ!!』訴訟問題」「宮崎勤死刑囚に死刑執行」「赤塚不二夫死去」「PS3でアニメ配信発表」「国際ガンダム学会発足」「押井守監督『笑っていいとも』に出演」「ワンフェス会場エスカレーター事故」「『マクロスF』大ヒット」といった最近の出来事のほか、『崖の上のポニョ』『スカイ・クロラ』といった話題作が俎上に載せられた。

続く第2部は、特集「金!金!金!オタクには金が必要なんだ!」と題して、普段なかなか公には話されない、オタク業界の様々な金額にまつわるエピソードを披露。ゲストとしてベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』などで知られ、自身もアニメファンの公認会計士・山田真哉氏が参加し、各ジャンルを受け持つ出演者から「テレビアニメの制作費」「アニメの原画・動画の値段」「フィギュア原型の制作費」「ガレージキットの原価」「改造ガンプラの落札価格」「マンガの原稿料」「パチンコ台のライセンス料」「PS3用ゲームの制作費」などの意外な相場が明かされた。具体的な数字はこの日だけのオフレコで……ということで、記事では残念ながら詳細には触れられないが、客席の業界関係者からさらにくわしい事情が解説されたり、マンガ原作も手がける山田氏が「今日はいいことを聞きました(笑)」とコメントしたりと、客席だけでなく壇上の出演者にとっても充実したものとなった様子。

今回のゲストは公認会計士の山田真哉氏(左から2人目)。雑誌『Newtype』の連載ではオタク業界への株式投資を自腹で実施中

左からアニメ評論家の藤津亮太氏、山田真哉氏、公認会計士の山田真哉氏、原型師の東海村原八氏

第2部の締めくくりとしては、「アニメーター」「声優」「マンガアシスタント」「フィギュア原型師」「ゲームプログラマ」の5分野の新人の給料を比較する「オタク業界・新人月給グランプリ」を発表。どの業種も大卒の平均初任給、19万6200円(2006年・厚生労働省調べ)からはかなり低い金額の模様で、新人にとってはなかなか厳しい状況と言えるが、山田氏によれば美容師やアパレル業界なども似た金額となっており、新人の給料が安いということは、裏を返せば若い人材が集まりやすい人気業種の証拠とのこと。中小工場といった、慢性的な人手不足に悩む業種に比べると、若い活気があることのアドバンテージは大きいようだ。

左から編集・ライターの石黒直樹氏、ゲーム・アニメライターの志田英邦氏、ライター・マンガ原作者の鶴岡法斎氏

第2部の模様から。「あくまでオタク大賞調べなので」と前置きされつつも、かなり生々しい金額がオープンに……?

次回の「オタク大賞R」は秋ごろの開催を予定。また年末年始には本家「オタク大賞」も行われる予定となっている。トークイベント形式なので、遠方の人にとってはなかなかハードルが高いが、会場だけで聞ける抱腹絶倒の「ここだけの話」に興味のある人は、足を運んでみてはいかがだろうか。

最後に行われた「オタク業界・新人月給グランプリ」。一番給料が高いのは「おそらくマンガアシスタント」とのこと