原油価格高騰のあおりを受けて、大手メーカーの食料品が次々に値上がりし、その値上げ幅は平均で約2~3割にも達している。値上がり分がそのまま、毎月の食費に上乗せされれば、食費が2~3割増することになる。ところが、給料は横ばいか、悪くすると目減りする可能性も。ガソリンを始め、食料品以外の生活必需品も次々に値上がりし、私たちは、収入は増えないのに出費ばかりがかさむ厳しい家計状況に立たされている。
![]() |
そこで、せめて食費だけでも、値上がりに対抗したいという消費者の切なる願いに応えてくれるのがプライベートブランド商品だ。すっかり知名度を得た観のあるプライベートブランド商品だが、ここであえて説明すると、大手スーパーなどが商品の企画・開発を行い、自社ブランド商品として販売している商品のこと。対する、メーカー品は"ナショナルブランド"商品と呼ばれている。
たとえば、イトーヨーカドーやセブンイレブンを傘下に含むセブン&アイ・ホールディングスの「セブンプレミアム」、イオンの「トップバリュ」、西友の「グレートバリュー」、ローソンの「バリューライン」などがある。
プライベートブランド商品の1番の売りは、なんといっても低価格だ。店舗によって、さまざまな種類のプライベートブランド商品を集めた"プライベートブランド・コーナー"を設置している場合もあれば、ナショナルブランド商品と並んで陳列されている場合もある。実際に、サントリーの「南アルプスの天然水」2リットル=178円とセブンプレミアムの「天然水」2リットル=98円が並んで売られているケースもあり、ミネラルウォーターに特にこだわりがなければ、当然、安価な商品に手が伸びる。
充実するプライベートブランド商品、1日3食をまかなうことも可能
たとえば、1日の食事をプライベートブランド商品でまかなうと、どうなるだろうか?
■朝食
- 食パン(138円)(ヤマザキ超芳醇 218円)
- ヨーグルト(138円)(明治ブルガリアヨーグルト 148円)
- オレンジジュース(148円)(キリンビバレッジ トロピカーナ 228円)
■昼食
- そうめん(450g 198円)(手延べ三輪そうめん 250g 218円)
- めんつゆ(258円)(にんべんつゆの素 498円)
■おやつ
- 厚切りポテト石垣の塩味(145g 198円)(プリングルスうす塩味 170g 291円)
■夕食
- レトルトカレー(88円)(ハウスのククレカレー 154円)
- ごはん(98円)(さとうのごはん176円)
※プライベートブランド商品はセブンプレミアムの価格を参照。ナショナルブランド商品の価格は同一店舗内での販売価格。内容量の掲載がないものは同一量。
プライベートブランド合計 1,246円 VS ナショナルブランド合計1,931円
3食+おやつをプライベートブランド商品にした場合の合計金額は1,264円、ナショナルブランド商品の場合は1,931円、1.5倍強の計算になる。これはあくまでも一例だが、一般的には、プライベートブランド商品はナショナルブランド商品より、価格が2~3割安になっている。つまり、ナショナルブランド商品の値上がり前の価格設定ということになり、値上がりラッシュを乗り切る必須アイテムといえるだろう。
ナショナルブランド商品が、日替わり特売品として超特価で販売される場合には、そちらのほうが安いこともある。しかし、毎日チラシをチェックして日替わり特売品を買いに行けない人にとっては、いつ買いに行っても安い"安値安定"のプライベートブランド商品はありがたい。
また、大半のプライベート商品はインターネットで購入できる。サラダ油やミネラルウォーターなどの重いものはネットで購入して、宅配してもらうのが便利だ(1500円以上購入すると全国に無料配送)。あるいは、スーパーに行くと、目移りして、つい余計なものを買いってしまうという人にも、ネットで必要なものだけを購入るすほうが節約になるだろう。
安いだけじゃない! おいしさと安全性にもこだわりあり
プライベートブランド商品と聞くと「安かろう、まずかろう」と思うのは、大きな間違いだ。というのは、パッケージに表示された「製造者」欄には有名メーカーの名前が記載され、ブランド名はスーパー独自のものでも、ほとんどの場合、製造はメーカーが担当しており、味の点でも、ナショナルブランド商品に引けをとらない。ちなみに、セブンプレミアムの場合、ドレッシングの「製造者」はキユーピー、米こうじみそはハナマルキ、レトルトカレーはエスビー食品、味付けぽんずは、キッコーマンとなっている。
さらに、相次ぐ食品偽装事件の影響を受け、消費者の食の安全性への注目が集まるなか、プライベートブランド商品は「安全・安心」も強調している。原材料、産地、製造メーカーを厳選したり、添加物の使用を削減するほか、環境負荷の少ない原材料・パッケージを使用するなど環境への配慮もなされている。
セブンプレミアムでは「表示」にもこだわり、栄養成分や含有アレルギー物質がわかりやすく表示されている。
安さ、おいしさ、安全性の三拍子がそろっているプライベートブランド商品は、生活関連品の相次ぐ値上げで困窮する家計に差し出された救いの手と言えるかもしれない。
村越克子(むらこしかつこ)
フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店