連日暑い日が続いている。エアコンも冷蔵庫もフル稼働するシーズンで、一般家庭では8月の電気料金は1月と並んで年間のピークになることが多い。原油や石炭などエネルギー価格の高騰のあおりを受けて電気料金もじわじわ上昇している。地球温暖化対策やエコも大切かもしれないが、なんといっても家計のダメージがこれ以上大きくなってはたまらない。

消費電力ベスト4の家電製品を重点的に節約

エアコン、冷蔵庫、照明器具、テレビ。これらは一般的な家庭で、消費電力量の多い電気製品のベスト4。グラフはこれらの機器別の消費電力量のシェアだが、この4つで全体の7割近くを占めている。多くの家庭では、これら4つの電気製品の使用頻度が高く、消費電力も大きなウエイトを占めていることになる。これらの電気製品で重点的に節約すれば、節約効果も高いということになる。

最近の電気製品は少し前に比べて省エネ化が進み、同じ使い方をしても消費電力量を少なく抑えることができる。古めの電気製品とどう違うのか、おもな家電製品を比較してみた。

エアコン

冷蔵庫

ハイビジョンテレビ

エアコンの消費電力を実際に測定。6月でも月1,280円節約

わが家には表のAとBの2台のエアコンがある。Aは今でも十分使えるが古いタイプ。Bは2002年8月に購入したもので、「エコ家電」といわれるインバーター方式の省エネタイプ。Cは、わが家で使っているものではなく、この夏販売されている省エネタイプのもの。冷暖房能力や消費電力量などの数字はいずれも取扱説明書やカタログのものだ。

冷房能力はいずれもおもに8畳用とされる「2.5kWh」。消費電力を比較すると、やはりAがいちばん大きく、Bの2倍もある。

消費電力はフルに働いたときのもので、常時その消費電力が必要なわけではない。「中間消費電力」は能力の半分の状態で運転されているときの消費電力量で、設定温度まで室温が下がり、安定して運転しているときなどにいちばん頻度が高くなる。これもAはBの2倍である。新しいCのエアコンのカタログには、中間消費電力量が出ていなかったので省略した。Cは冷房時の消費電力は6年前の省エネタイプとほぼ同じだが、暖房時は、大幅に省エネ化されている。

わが家のエアコンAとBの消費電力をワットアワーメーターという計測器で測ってみた。ある主婦向け雑誌の「夏の公共料金節約」という記事を書くために、編集部からワットアワーメーターを借りて計測したのだが、エコ家電がやはり電気代の節約に大いに役立つことを確かめる結果になった。

締め切りの関係で6月初旬に計測したので、猛暑ではなかったが、外気30℃、室温28℃、設定温度26℃で、スイッチオン。まず消費電力の大きい旧式のAから。立ち上げ直後は300W前後を行ったり来たり、約3分後に709W→722Wと上昇、約5分後にいったん421Wと下がったが、再び数分で556Wと上昇、約15分後、430W前後で安定し、以後430W前後で推移した。

次にエコ家電のBは立ち上げ直後から15分は132W→231W→230W→280W→330W→410W→440W→330Wと推移し、約20分後からは260Wで安定した。その後、雲が出て気温が少し下がると180W前後で安定するようになった。

ほぼ同じ条件でもエコ家電の消費電力は大幅に少なくてすむことが確かめられた。1日8時間使用するとして、消費電力が480Wでは1日あたり約85円、240Wは42円。1カ月では1,260円の差になる。測定は夏の初めだったが、猛暑の続く日々、設定温度を低めして長時間使用すれば、その差はすぐに2倍、3倍になる。エアコンの購入、買い替えでは、消費電力ができるだけ少ないものを選ぶことが重要であることがわかる。

冷蔵庫やテレビの省エネ性能も進化している

冷蔵庫は主力商品が年々、大型化しているが、省エネ化が進み、消費電力は大型化しても、逆に下がってきている。冷蔵庫のEはわが家のものだが、最新式のFはサイズが約30%大きくなっているが、年間消費電力量は逆に少なくなっている。同じメーカー、同じくらいのサイズでも年間消費電力量にはばらつきがあるので、消費電力量の少ないものを選ぶのが大切だ。

テレビも省エネ化が著しい。Gがわが家で使用中のブラウン管のハイビジョンテレビだが、このテレビもワットアワーメーターで計測してみた。カタログ表示の消費電力よりもやや少ない数値(194~204W)で推移した。いまは液晶が主流で、消費電力は大幅に少なくなっている。とくにHは「業界NO1」といわれる省エネ型。待機電力も大幅な省エネ化が実現されている。テレビの節約のコツは待機電力のカットという節約ワザは省エネ型の液晶テレビでは通用しなくなっている。

電気料金の値上げが予想される今、家電製品選びでは、消費電力量ができるだけ少ないものを選ぶのがポイントになってくる。

丸田潔(マルタキヨシ)

1952年東京都生まれ。76年早稲田大学文学部卒業。編集プロダクション勤務を経て90年フリーに。マネーライターとして生活情報誌、主婦向け雑誌、マネー誌などで活躍中。金融商品や保険に関する記事のほか、家計や節約の実例記事を数多く手がけ、今までに取材した貯蓄・節約体験の実例は1,000例を超える。近著に『お金がたまる人たまらない人ーなぜあの人はお金がたまるのか』(主婦の友社)