成人識別カード「taspo(タスポ)」の全国導入が7月1日より始まるのを前に、中小のたばこ販売業者で組織する全国たばこ販売共同組合連合会はたばこ自販機の深夜稼動を解禁したい意向を示した。この件についてメーカーである日本たばこ産業(以下、JT)は、マイコミジャーナルの取材に対し「(たばこ自販機の深夜稼動への賛同は)タスポの成功ありき」と回答し、慎重な構えをみせた。
たばこ自動販売機の深夜販売は、1996年4月より未成年の喫煙防止のために自主規制されている。そのため午後11時から午前5時までのあいだ、日本全国のたばこの自動販売機は稼動していない。しかし、7月1日以降、たばこ自動販売機の利用者はタスポなど成人識別認証の稼動により、理論上たばこ自動販売機の利用者は成年者に限定されることから、全国たばこ販売協同組合連合会は「深夜販売を自粛する必要はなくなる」と判断。5月に深夜販売再開の方針を打ち出し、たばこメーカーに賛同を要請した。
「市場にあるたばこの自動販売機の約8割は、たばこメーカーからのリース品です。したがって、リース主であるたばこメーカーの了承を得た上で正式決定とする方針です」(全国たばこ販売共同組合連合会)。しかし6月30日現在、たばこメーカーからの返答はまだない状態だという。
これに対し、回答を保留するJTは慎重な構えをみせている。「とにかく、7月1日にタスポが全国展開された後でなければ何ともいえない。タスポが成功しないことには、(連合会に対して)返答のしようがない。慎重に経過を見守りたい」(JT広報)としている。
たばこの自動販売機の成人認証の方法は、タスポ以外にも松村エンジニアリング製の運転免許証方式が認められている。まだ未認可だが、フジタカ製の顔認証方式も4,800台が稼動しており、認可要請を受けた財務省による判断を待つ状態だ。しかしながら、成人認証の方法の方法が複数に増えても、深夜自主規制解除の鍵を握るは、ひとえに"タスポの成功"にかかっているようだ。