かつて世界が三つの函だった頃の面影が今でも色濃く残る場所、三ノ函半島。そこでは実現しなかった未来の残像が見え隠れしている。
この三ノ函半島への幻想の旅を、本展覧会では700平米の会場において再現している。"三ノ函観光センタ"へ入るとその先には、実寸大の家具で作り上げられた「あるアパートの一室」があり、そこから等身大パペットの"男"とともに幻の半島をめぐる旅へと旅立つ。アパートの窓に写し出される映像には"男"が優待離脱のように旅にドアの向こうには湘南電車を思わせる「三ノ函鉄道」。その外観と内観が入り交じった車内から、 半島への旅の景色が写し出される。
半島での宿は、半島随一と謳われる「百色旅館(ももいろりょかん)」の一等客室「ソランの間」。どこかうら寂しい古い海辺の宿にいるかのような部屋の窓の外には、美しい三ノ函半島の海や、空からピンクゲルマが注がれる不可思議な景色を"男"とともにじっくり楽しむ事ができる。そして、旅に欠かせないのは湯。百色旅館ではピンクゲルマの湯が楽しめる浴場も備えており、湯の底に浮かぶ映像が楽しめる。
さらに旅の思い出を振り返るかのような部屋や、村田氏のパペットの世界も堪能し、"男"とともに記念撮影も楽しめるコーナーもある。そして、旅の最後に相応しく、三ノ函半島100名所の映像が見られる「百色旅館ジュークボックス」を設置した広々したホールが待っている。ここでは村田氏の映像作品をたっぷり楽しむ事ができる。