2007年は、FX(外国為替証拠金取引、以下FX)による脱税などがニュースを騒がせていた。というのも、FXには確定申告をしなくても税務署にバレないイメージがあったからだろう。しかし、取引の履歴は必ず残るもの、税務署もキチンと調べているので、税金逃れをしようとせずに、しっかり確定申告をしておく必要がある。
そこで今回は、FXの確定申告を行う際に、より有利になる取引方法について解説する。というのも、FXの取引方法の違いによって、課税の扱いが変わることを知らない人があまりにも多いからだ。
最初に、FXには2種類の取引方法があることを知っておかなければならない。ひとつは公設市場となる「くりっく365」での取引で、もうひとつは非取引所での取引(相対取引)となる。このどちらを選択しているかによって、課税方法は異なる。
まず「くりっく365」で取引する場合、利益に対する税金は「一律20%の申告分離課税」となる。累進税率となる総合課税とは異なり、税率が一律であるため、高額所得者であればあるほど、この課税方法が有利に働くだろう。
それに対し、非取引所での取引は雑所得として扱われるため、累進税率の「総合課税」となる。つまり、給料やほかの所得と合算されて税率が決まるので、利益が多ければ多いほど、税率も上がってしまうので注意が必要となるのだ。
さらに、確定申告をした翌年以降3年間に渡って確定申告することにより、損失分の繰越控除ができる「くりっく365」に対し、非取引所取引では、損失分を繰り越すことができない点にも注意しよう。つまり、FXである程度の利益を出している場合でも、損失が出ている場合でも、税制的には「くりっく365」を選択した方がおトクになる。
とはいえ、確定申告は毎年1月1日から12月31日までに得たすべての所得を計算し、申告・納税するもの。今年は、2007年の1月~12月分を2008年の2月18日から申告・納税することとなる。つまり、今から「くりっく365」にしても、昨年分には間に合わないので要注意。
なお、給与所得が2,000万円以下で、年間所得金額が20万円以下となるサラリーマンの場合なら、確定申告は不要となる。また、年間所得金額が38万円以下の専業主婦の場合も、申告をする必要はないので、どの程度儲ければよいかの目安として覚えておこう。