日産自動車は、2008年4月より北海道十勝地域で実施される、ガソリンにバイオエタノールを10%混合したE10燃料の普及を目指す国内初の実証実験「とかちE10実証プロジェクト」に参加すると発表した。それに合わせ、同社の「ムラーノ」をベースとしたE10対応車両を製作し、日本で初めて国土交通大臣認定を取得した。

ムラーノ E10 国土交通大臣認定取得車

「とかちE10実証プロジェクト」は、環境省の「地球温暖化対策技術開発事業」について、財団法人十勝圏振興機構が委託を受け、E10の早期普及に向けて取り組むもの。実際にE10燃料を使用した車両の運用を行ない、車両や燃料などに対する技術開発を目的としている。プロジェクトの期間は2007年7月2日から2009年3月31日。実際の走行実験は2008年4月1日より同年12月19日まで実施される。

植物から生産されるバイオエタノールは、CO2排出量を増やさない再生可能なエネルギーとして注目されている(バイオエタノールを燃焼させた際に排出されるCO2は、原料となる植物が成長時に光合成によってCO2を吸収しているため、全体としてはCO2排出量を増やさないという考え方『カーボンニュートラル』による)。また、化石燃料の節約にもつながることなどから自動車用燃料として期待されている。加えて、今回のプロジェクトで使用するバイオエタノールは、規格外の小麦やてんさいを原料とするため、食糧供給へのインパクトが小さく、北海道でのガソリン需要量の1%(15,000kL/年)を代替できる可能性があるという。

同社は「とかちE10実証プロジェクト」への参加にあたり、国土交通省が定めた技術指針に適合させたムラーノを試験車両として提供。同プロジェクトの排気性能試験などをサポートすると共に、実際の使用状態での車両データを取得し、E10燃料に対する開発の課題を確認する。また同社では、従来よりバイオ燃料に積極的に対応しており、すでに北米ではE85(エタノール85%)に対応した「タイタン」「アルマーダ」を販売中である。