東京・新宿のロフトプラスワンにて1月5日、「日本オタク大賞2007」が行われた。マンガ、アニメ、ゲーム、特撮、フィギュアといったオタク的事象を1年分総ざらいし、記憶に残る作品・人物・出来事を自由闊達に顕彰するオタクの、オタクによる、オタクのためのイベント「日本オタク大賞」は、2001年にスタートして今年で7回目。前回はイレギュラーな2月末に行われたが、今回は年明け早々の開催となった。

今回も例年通りの公開収録形式で行われ、会場は超満員に。各ジャンルの審査員がそれぞれの担当分野におけるベスト3と、いわくつきの裏ベスト作品をプレゼン形式で語り、2007年を振り返った。また今回は腐女子と呼ばれる女性オタクについての特別枠が設けられ、女性審査員も数年ぶりに参加。マンガ『テニスの王子様』のミュージカルなど、腐女子の分野における話題作についても語られた。

プレゼン終了後はフリートーク形式で大賞と各審査員による個人賞を決定。今回の大賞はやはり……と言うべきか、それまでのトークでも頻出した「動画投稿サイト」に決定。そのなかでも代表としてニコニコ動画に贈られた。「審査員全員が楽しんでいる唯一のもの」として、細分化が加速するオタク全体を包括できるハードルの低さ、それまでのオタクライフを一変させる影響力の強さなどが評価の対象となっている。

大賞以外の個人賞には、公開25年目で新たな再編集版が世に送り出された映画『ブレードランナー』、性別や年齢を問わず幅広く支持された特撮ドラマ『仮面ライダー電王』、12年前の大ヒット作品を再構築し、再び大ヒットしたアニメ映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』、多発するメディアミックス作品のなかでも良作と評価されたアニメ『瀬戸の花嫁』、残虐描写で最終回が放送休止になるなど大きな波紋を呼んだアニメ『School Days』、Xbox 360のキラーソフトとして人気のゲーム『THE IDOLM@STER』などが選ばれている。

このほかには、2007年末の国会におけるUFO論議も個人賞に選出され、前回個人賞を受賞した麻生太郎衆議院議員に続いて、奇しくも政治の場におけるオタク的な事象・人物が2年連続で受賞。どのような分野であれ、オタク性が顔をのぞかせることはもはや珍しくなくなった、との指摘がなされた。さらには日本オタク大賞自体が回数を重ねたことで固定ファンが増えたことを反映してか、皆勤で来場していた名物ファンが個人賞を受賞。壇上でそのまま審査員と特撮トークを繰り広げるという、日本オタク大賞ならではの破天荒な展開も。

このほかトーク中では『トランスフォーマー』『機動戦士ガンダムOO』『天元突破グレンラガン』『電脳コイル』『らき☆すた』『ジャンプスクエア』「PLAYSTATION 3」「初音ミク」「岡田斗司夫」といったキーワードが何度か飛び出したが、惜しくも受賞は逃している。

イベントの模様はスペシャル番組『日本オタク大賞2007』として、CS放送チャンネル「MONDO21」で1月26日に前編が、翌1月27日に後編が放送予定。「ライトなオタクネタでは満足できない!」とお嘆きの、濃い目の視聴者にとっては必見のプログラムとなっている。

審査風景から。左より司会の鶴岡法斎氏、唐沢俊一氏、倉田真澄氏、東海村原八氏、前田久氏、石黒直樹氏、ドリー・尾崎氏、志田英邦氏

「日本オタク大賞2007」結果一覧
賞名 受賞作・受賞者
大賞 動画投稿サイト(代表としてニコニコ動画)
志田英邦賞 THE IDOLM@STER
ドリー・尾崎賞 ブレードランナー 製作25周年記念
アルティメット・コレクターズ・エディション』
石黒直樹賞 瀬戸の花嫁
前田久賞 School Days
東海村原八賞 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
倉田真澄賞 仮面ライダー電王
唐沢俊一賞 UFOに関する国会論議
鶴岡法斎賞 レギュラー客の小林くん
アニメディア賞 やさいのようせい

※個人賞は発表順です。

これまでの開催概要
通算回数(開催日) 大賞受賞作
第1回(01年12月1日) 映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
第2回(02年12月2日) 海洋堂
第3回(03年12月3日) 機動戦士ガンダムSEED
第4回(05年1月8日) 擬人化(特に『びんちょうタン』)
第5回(06年1月31日) 秋葉原
第6回(07年2月28日) ウルトラマン80(『ウルトラマンメビウス』より)
第7回(08年1月5日) 動画投稿サイト(代表としてニコニコ動画)