――フレーズごとに覚えることは、先生の持論「チャンク(意味の区切り)ごとに英語を聞き取る」ということにつながってくるのでしょうか? また先生がご自分で勉強なさった際も、音読を取り入れたのですか?

フレーズは短い表現やまとまったものが多いので、その点は「チャンクで話す」ということにつながるかも知れませんね。表現のフレーズを覚えると、そのまま「話す」ことができます。また、なんでそういう意味になるのかと思い、文法や単語の意味を覚え直せるというメリットもあります。

音読は最初に「聞く」ことができるようになります。そして、少しずつ「話す」ことができ、「読める」ようになる、最後に「書く」力がつきます。これは、自分が英語を話せれば、その英語表現は聞けるという原理です。逆に声にだしていないから、英単語の意味を知っていても聞き取れないというのが、多くの日本人の状況なのです。

英語をチャンク(意味の区切り)で覚えるというのは、英語の語順を覚えることに直結しています。ネイティブ・スピーカーは単語ごとにブツ切りに発音せず、まとまったチャンクごとにリズムを刻むように発音します。チャンクで聞き取れるようになると、英文を1文考えてから口にするのではなく、ある程度のまとまりで英語が口から出てくるようになります。つまり、「チャンクで聞き取り、チャンクで話す」というネイティブ・スピーカーと同じ発想が身につくわけです。

『英語が自然に出てくる! 音読の練習 1回10分トレーニングでペラペラ英語』(中経出版刊、1,365円)

――著書『英語が自然に出てくる! 音読の練習 1回10分トレーニングでペラペラ英語』の、先生が勧める音読は、ネイティブ・スピーカーと同時音読、その後のチャンクごとの音読の繰り返しとなっています。これらは、通常の語学テキストの音読練習より音声スピードが速いと思うのですが……?

それも先ほど述べた「チャンクで覚える」というのと同じです。音読のコツは「ネイティブ・スピーカーと同じリズム、スピードで音読すること」だと私は考えています。チャンクごとの音読の間を少なめに設定したのも、目標が「ネイティブ・スピーカーと話す」ことだからです。ゆっくり発音されたものを繰り返したり、自分のペースでゆっくり音読しても、実際の会話では役立ちませんよね。

またこのトレーニング法は「成功体験」を繰り返すということも意図しています。まず、ネイティブ・スピーカーと同じ速度で同時音読をしてみても、最初はちゃんと音読できないでしょう。そこで、今度はチャンクごとに繰り返し音読をし、できるようになったら、また最初と同様に同時音読をしてみてください。すると、最初より音読ができるようになっている。この「成功体験」を繰り返すわけです。最初は速いと感じると思いますが、CDの速さで練習し続ければ、海外に行ってもネイティブ・スピーカーの話す英語を容易に聞き取れると思います。

――同著書では松井秀喜選手や女優の牧瀬里穂さんなど有名人へのインタビューやエッセイが入っていますが、これはどういう意味があるのでしょうか?

複数の理由があります。まず、音読をする際に「英語の意味がわかっている」ということが重要なので、比較的易しいインタビューやエッセイを選びました。次に、インタビューは会話文です。会話文を音読すれば、「話す」際に使える表現をたくさん覚えることができます。また、インタビューやエッセイでは、「言いたいこと=メッセージ」があるので、何回も音読の練習をしていても面白いと思えるのではと思ったからです。

――音読は同じものを何回も続けた方がいいのでしょうか?

いえ、ネイティブ・スピーカーと同じように音読ができるようになれば、どんどん次のものに挑戦していってかまいません。飽きても繰り返しやれ! なんて根性論的なことは言いません(笑)。

――これから英語を勉強するマイコミジャーナル読者へメッセージをお願いします。

まず英語を「勉強する」のではなく、「トレーニングをする」「学ぶ」のだと思って、望んでください。似ている言葉のようですが、嫌々ながらする「勉強」では、英語を学ぶのも楽しくありませんし、続けられません。次に1日10分でもいいので音読を続けてください。そうやって体を英語に慣れさせて、どんどん「成功体験」を積んでいってください。ゲームと同じで、クリアできれば楽しいし、次の問題に挑戦したくなると思います。そうなれば、英語を話せるようになる日も近いはずですよ。

――ありがとうございました。

『英語が自然に出てくる! 音読の練習 1回10分トレーニングでペラペラ英語』を読者5名にプレゼント!詳細はこちら