血行の悪さなどから体の不調を訴える現代人の"血めぐり"改善を目的とした「血めぐり研究会」が1日、発足した。同研究会は、血行に関連する領域の専門家が集まり、血めぐりに関する幅白い情報発信を通じて、現代人の血めぐり改善を図るとしている。それに伴い、同研究会の公式ブログが開設されたほか、ウォーキングやエクササイズのイベントを実施することで、血めぐり改善の周知に力を入れていくという。

3日、都内で行われた記者発表会では、代表を務める川嶋朗先生(東京女子医科大学 附属青山女性・自然医療研究所クリニック所長)が「冷えを無くすことで、病気を抑制し医療費削減につなげたいという思いからこの研究会を立ち上げた」と挨拶。続いて渡邉賀子先生(麻布ミューズクリニック院長)が「冷えの研究を通して考える気づかない疲れと冷え~血めぐりケアのすすめ~」と題して講演を行った。

川嶋朗先生(東京女子医科大学 附属青山女性・自然医療研究所クリニック所長)

渡邉賀子先生(麻布ミューズクリニック院長)

渡邉先生によると、「全身をめぐっている血液は体の中心部から末梢まで熱を運び、細胞に必要な酸素や栄養物質の供給と老廃物の除去・運搬により生命活動の重要な役割を担っています。この血液循環と物質交換(新陳代謝)が血めぐりです」と指摘。その上で「血液循環は自律神経により調節されているため、環境やストレスなどの影響を受けやすいのです。血めぐりを良くすることは、生活環境や仕事などでストレスを多く感じている現代人にとって重要なことであると言えます」と述べた。また、血めぐり不良によって引き起こされうる症状として、肌荒れやニキビ、肩こりや頭痛、疲れ、むくみ、シミ、歯周病、疲れ目、ドライアイなどを挙げた。

さらに、血めぐりを悪化させる原因としては「過剰な冷暖房」や「1年を通じて冷たい飲食物の摂取」「露出の多い洋服」「パソコン作業などで1日中座りっぱなし」「交通手段の変化による歩行量の減少」「ストレスの増大」などとする。これらの症状を引き起こさないために必要なのは「日常生活でできることを見直す」ことと渡邉先生は述べ、服装や食事といったライフスタイルを改善させる「血めぐりケア」を提唱した。

血めぐりケアの詳細は以下の通り。
服装 下半身を温かく、お腹周りを冷やさない、上手に重ね着、脱着をマメに
食事 規則正しくバランスよく、地元の旬の食材を使う、調理法を工夫する
住環境 冷暖房は控えめに、足元を暖かく、湿度の調節、入浴の習慣を付ける
温める 入浴・足浴、湯たんぽ、温湿布、温熱シート
運動 まめに動く・階段を使う、いつでも手軽にストレッチ軽い有酸素運動、ダンベルなどで筋力アップ

特に、食事は「体温とともに代謝も低い朝は、温かく消化のよい飲食物の摂取を心がける。また、カブや葱のように冬場が旬の物や土中で取れる根菜類のほか、生姜やニンニク、唐辛子などは体を温めるので是非食べてほしいです。また生のままより煮たり焼いたりして加熱調理したものや日干し・発行・塩漬けしたものの方が体を温めます」とのことだ。また、ホットタオルなど蒸気で温めることも有効的であるとした。

腕を軽く圧迫することで、血めぐりを目で見ることができる

展示されていたパネルによると、年をとるにつれて血液の流れる毛細血管の数が減っていくらしい

最後に、花王のヒューマンヘルスケア研究センターパーソナルヘルスケア研究所、副主席研究員の矢田幸博氏が「血めぐり体感プログラム」を紹介。腕を軽く圧迫したり、緑色の光を照射することで、自分の血めぐりが分かる機器などが紹介され、参加者は自分の血めぐりを見ていた。