調査・コンサルティング会社であるシード・プランニングはこのほど、プリペイド型とポストペイ型の電子マネーに関する調査結果を発表した。同社によると、電子マネー市場は利用エリアの拡大や利用者の増加によって、2012年度には小額決済市場60兆円の約11%とされる約6兆6,000億円に成長すると予測している。

今回の調査では、電子マネー関連事業者に対してプリペイド型とポストペイ型の電子マネーを対象に電子マネー事業(専業系/交通系/流通系/金融系/通信系/ネット系)および関連省庁に対して、電子マネーについての戦略や取り組むべき課題についてヒアリング調査を行った。 その結果、これらの電子マネーがショッピングだけでなく、交通運賃の支払いにも利用されている現状から、利用用途を「ショッピング」と「交通」に分類し、2012年度までの市場規模を推定、グラフ化した。

電子マネー市場予測(シード・プランニング調査)

国内の個人消費は約290兆円、そのうち小額決済市場は約60兆円と言われているが、同調査で2006年度の電子マネーの市場規模は、ショッピングと交通利用を合わせて約5,400億円と推定されるという。また2007年度には「PASMO」など交通系ICカードの登場で約1兆8,000億円の市場規模に拡大すると予想している。特に交通利用は、首都圏の私鉄/バスに利用できる交通系ICカード「PASMO」のサービスが始まったことがきっかけとなり、首都圏を中心にICカードの利用が急増。電子マネーの市場規模は前年より1兆円超となると見込まれている。

ショッピング利用については、2007年度~2009年度は交通利用より少ないが、規格の異なる複数の電子マネー決済端末が共有化され、使えるエリアが拡大することにより、2010年度以降は交通利用を追い抜くという。その後はさらに加速化し、電子マネー決済が普及していくものと予想している。

今後の展開として、2008年春にJR3社(東日本、西日本、東海)より発行されている「Suica」「ICOCA(イコカ)」「TOICA(トイカ)」の相互利用開始、2008年秋にJR北海道で「Kitaca(キタカ)」の開始、2009年にJR九州でICカード開始(ICカード名は未発表)など、既にICカードサービスの拡充予定がある。このことからも、利用エリアとICカード内容が充実し、さらに普及していくものと考えられている。