三菱自動車は、4輪の駆動力と制動力の制御を軸とした高度な車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」と、クラッチ操作を不要とし、通常のマニュアルトランスミッションより俊敏な変速を可能にした自動変速マニュアルトランスミッション「Twin Clutch SST(Super Shift Transmission)」を新開発したと発表した。ともに、秋に発売予定の高性能スポーツセダンに搭載されるとしており、ランサーエボリューションXへの搭載が見込まれる。

現行ランサーエボリューションベースのS-AWCシステム(シャーシモデル)

車両統合制御システム「S-AWC」は、従来のランサーエボリューションシリーズに搭載されていた、前後輪に最適なトルク配分をする「ACD(Active Center Differential)」、後輪左右のトルク配分をして旋回性能を向上する「AYC(Active Yaw Control)」、旋回中の制動性能も向上する「スポーツABS(Sports Antilock Brake System)に、新たに各タイヤのブレーキ力とエンジン出力を制御して横滑りを抑制する「アクティブスタビリティコントロール(Active Stability Control)」を追加したもの。「ACD」や「AYC」の制御にはエンジントルクやブレーキ圧情報なども用いることで車両の加減速を判断して、レスポンスのよい制御を可能にしたという。S-AWCには、乾いた舗装路向けの「TARMAC」、濡れた路面や未舗装路向けの「GRAVEL」、雪道用の「SNOW」のモードが用意される。

Twin Clutch SSTは、奇数段(1、3、5速)用クラッチと、偶数段(2、4、6速)用クラッチの系2系統のクラッチを交互に切り替えることで、変速タイムラグのない素早い変速を可能にした。動力伝達はトルクコンバーターではなくクラッチで行うため、構造はシンプルで伝達効率にもすぐれているため、燃費向上の効果もあるという。変速ショックやレスポンス別に市街地向けの「Normal」、ワインディング路走行やエンジンブレーキが必要な時の「Sport」、Sportよりさらに高回転でクイックな変速を行う「S-Sport」の3種類のモードが用意される。