毎年10月初旬はノーベル賞の受賞者が発表される時期でございます。2020年は10月5~12日まで6つの賞が発表されます。今回も、例によってサイエンス関係の3賞(医学生理学賞、物理学賞、化学賞)について、くっちゃべろうと思います。

  • ノーベル賞の受賞メダルのレプリカ

    ノーベル賞の受賞メダルのレプリカ

さて、ということで毎年10月初旬はノーベル賞週間でございます。ノーベル賞とは……こっち見てね。なお賞金が1ジャンルで800万→900万→今年は1000万クローナ(1.2億円弱)に増額されましたな。

財団の財政が良くなったためだとか。ちょい話題になりましたなー。それから、12月に表彰式がスウェーデンであるわけですが、新型コロナウイルス感染症対応で、さすがに受賞者が居住国の大使館で受け取り+デジタル授賞式みたいにやり方を変えるらしいですな。

なお、スケジュールは次の通り。発表時間は数分遅刻しがちですが、ノーベル財団のホームページで生中継されます。2019年は化学賞でリチウムイオン電池の研究で吉野彰さんが受賞されましたな。

  • ノーベル賞

    2020年のノーベル賞発表時刻と、過去の日本および出身受賞者リスト

ノーベル賞といえば、下馬評というか予想合戦でございます。文学賞は毎年、村上春樹さんがあがりますがなかなかですなー。まあ、フォーク歌手のボブ・ディランが歌詞で受賞しているので、個人的にはスティーブン・スピルバーグとかJ・K・ローリングとかが受賞してもいいんじゃね。と無責任に思ってしまいます。私の読解力では基準がよくわからないのですよ。

一方、科学3賞といわれる、医学生理学、物理、化学については論文が他の論文でどれだけ言及されているかという、論文引用に基づきクラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞が下馬評(科学3賞+経済学賞)といわれております。本家よりWikipediaの方が掲載が早いのではっときますが、2020年は宇宙物理で冷たい暗黒物質のカルロス・フランク、ジュリオ・ナバッロとサイモン・ホワイトさんがあがっていますな。ジュリオさんは受賞したらアルゼンチン初になるんじゃないかな。……え? わかりにくい?

えーっとじゃあ、この記事で。がん研究の中村祐輔さんと、超分子化学の藤田誠さんがあげられていますねー。藤田誠さんの研究は、中二病をこじらせそうな中身です。適当に金属イオンを混ぜるだけで、巨大な分子が勝手に(自己組織化して)できちゃうというものです。もう魔法です。藤田さんのホームページのエッセイもなかなかおもしろく、ユニークな研究分野を切り開いたため人柄がなんとなくうかがえますね。受賞してほしくないなー。講演会よびたいなー。受賞したら一気に呼びづらくなるからなー、という感じでございます(おい)。

引用栄誉賞の日本人リストは公式にちゃんとあって、下馬評にずっとあがっている超伝導の十倉好紀さん、カーボンチューブの飯島澄男さんなどの名前もあがっています。超伝導では細野秀雄さんも注目したいなー。医学生理学だとドラマでもチョイチョイ使われるfMRIの小川誠二さんの仕事もいいですね。はい、全部私の好みでございます。

  • クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞

    2020年の「クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞」を受賞したがん研究会の中村祐輔氏の受賞トピック内容 (出所:クラリベイト発表資料)

  • クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞

    2020年の「クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞」を受賞した東京大学の藤田誠氏の受賞トピック内容 (出所:クラリベイト発表資料)

なお、例年予想合戦していた、日本科学未来館はいつのまにか予想をやめていたようですなー。

さて、ということでノーベル賞なのですが、基本、基礎研究に与えられることになっていて、それの事業化でもうけた人には与えられないことになっているのですよね。基礎研究に光があたるしくみを遺言したアルフレッド・ノーベル(ダイナマイトの発明と事業化で莫大な財産を築いた)はまあ慧眼としかいいようがないですね。

そして、それがあるおかげ、私もこうして、原稿が一本書けるわけでございます。科学とその周辺への貢献はすごいものがありますな。しかし年間7億円の賞金(ま、運営費もかかるわけですが)でこれが達成できているんですから、たいしたものでございますな。

では、STAY TUNE、座して10月5、6、7日を待つことにいたしましょう。