2020年10月6日に火星が接近します。その前後2か月は、今もふくめて火星の見頃でございます。で、この接近、2年2か月ごとなんですが、実は今回の接近は、非常に条件がいいのです、接近の度合いでは前回がベストでしたが、今回の方がよい。大穴でございます。ぜひみていただきたく、ご紹介する次第でございます。

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    2年2か月ごとに地球に接近してくる火星。今回は2020年10月6日の前後2か月となります (C)NASA/JPL/Malin Space Science Systems

夜、8時をすぎて、東の空をみると、ミョーに明るいオレンジの天体が昇ってきます。なにか、山の上に誰かいるんか? みたいな感じで見えるのでびっくりしますが、それは火星なのでございます。人工的に見えるのは、他の星のようにチラチラまたたかず、じーっと光るからですな。これは光の点ではなく、大きさがある惑星の見え方の特徴でございます。

さて、この火星、いつもこんなに明るいわけじゃあありません。ここまで明るく見えるのは13〜15年ごとに1、2度のことなんでございます。火星が見やすくなるのは、地球からみて、太陽の反対にくる時で、これは2年2か月に1度です。これを火星の接近といいます。以前、原理的なことはご紹介しましたので、よかったら読んでね。

参考:どこでもサイエンス 第127回 火星を見たら、わかっちゃったー(前編)

で、この接近、その距離が毎回違うんですな。国立天文台の説明と図がわかりやすいのですが、最大で2倍変わります。2倍変わると、単純に大きさ、つまり面積は4倍変わり、明るさについては、太陽からの距離も関係するので拍車がかかります。

グラフの青い線は、火星の見かけの大きさを示したものでございます。2年2ヶ月ごとに極端に大きくなることがわかります。ここが接近ですな。だいたいは、遠くて小さいのね火星。さらに、この大きくなるピークの高さが、13~15年の周期で変化しているのが見てとれますね。特に上に突出するのが大接近なのですな。

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なお、このグラフはアストロアーツ社のソフト、ステラナビゲータのシミュレーションで出したものでございますよ。

今回の接近は、グラフの左から3つ目の山です。前回が大接近で、今回もかなりイケてますな。そして今回なみのものは、もう6つの山の向こうでございます。1つの山が2年2ヶ月なので、次回の大波は13年後ということになるわけです。

ところで、今回の接近は、まあ大したものではあるけど、前回ほどじゃないんじゃね? と言いたくもなりますね。1番じゃなくて、2番じゃないですか。ってなものです。でも、この2番は大事なのです。もう1つグラフを見てもらいましょう。

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はい、赤い線が追加されましたが、これは火星がどれだけ空の上で高くみえやすくなるかをしめしています。赤い線が上の方が見やすく、下が見にくいと思ってください。これをみると、接近のピークとは必ずしも一致せず、結構ずれることがわかります。

そして、今回の接近を見ると…、ん? ピークの時に結構赤も上! ということがわかります。前回は逆に赤が低いです。グラフを拡大して見てみましょう。

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つまり、今回は、大きくなるのではトップじゃないけれど、高く見える、みやすい接近だということがいえるのですな。

試みに星図を描いてみると、前回と今回では、同じ接近の日でもこれくらい違うってのがわかります。

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    今回、火星が高い!

ということで、今回の火星接近はいいものでございますので、ぜひチェックしてくださいませ。金星に生命の可能性ってニュースにちょっとうずもれがちではございますが……