都会で星空を見ていて、ハッとなるできごとが流れ星です。思わず、声を上げたくなるくらい、気持ちがあがります。で、ぜひ見てほしい! のですが、ねらって見られるものではないですねー…ふだんは。が、8月12日の夜は、晴れていれば確実に流れ星が見られます。毎年活発に活動するペルセウス座流星群の極大時期だからです。今年は月明かりに邪魔されず好条件。ぜひ、見てほしい! を込めて、ご紹介しますねー。

  • ISSからとらえたペルセウス座流星群

    国際宇宙ステーションからとらえた、2011年8月のペルセウス座流星群 (C)NASA

流れ星の数、通常の3倍どころか、ナント10倍!

流れ星は、年がら年中、いつでも流れています。というと「えー、見たことないよー」と反応がありそうです。無理もありません。なにしろ流れ星の数は1時間に2~3個。夜空をくまなく1時間見るなんてことは、まあしませんから、たまたま見ることはめったにないわけなんですねー。

ところが、8月12日前後は違います。流れ星の数が、通常の3倍…いえ10倍にもなるのでございます。ピーク時の13日未明に1時間に40~50個、それから1日ずれても1時間に20個程度の流れ星がながれるのです。ペルセウス座流星群が極大を迎えるから、なんですなー。流星群と名のつくものは、たくさんありますが、ペルセウス座流星群は、夜寒くない8月に見られるということでベスト流星群なのです。

時期 日本で見える流星の数
★1つがふだんの2倍
流星群の名前
1月4日ころ ★★★★★★★★★ しぶんぎ座流星群
4月22日ころ ★★ 4月こと座流星群
5月6日ころ みずがめ座η(エータ)流星群
8月13日ころ ★★★★★★★★ ペルセウス座流星群
10月8日ころ 10月りゅう座流星群
(ジャコビニ流星群)
10月21日ころ オリオン座流星群
11月18日ころ しし座流星群
12月14日ころ ★★★★★★★★★ ふたご座流星群
主な流星群(他にもたくさんありますが、流れ星が多いものだけ) (参考:国立天文台 流星群解説

さらに、数だけではなく、明るい流星が多いのもペルセウス座流星群の特徴です。しぶんぎ座流星群やふたご座流星群は数は多いですが、中庸な感じなので、見た目の派手さではペルセウス座流星群に軍配があがります。

流れ星の観察は、ねころがって、空を見るだけ

ということで、見てみましょーということですが。これは、以前(どこでもサイエンスの第82回)にも書きましたが、流れ星の観察は…

  1. 晴れている夜に、外に出る
  2. 空を見上げて、流れ星が見えるのを待つ

だけでございます。

寝ころがると、空をひろーく見られて、効率がよいですな。そして、それをペルセウス座流星群の時期にすると、なんというか、まあ次から次へという感じで流れ星が流れるのが見られるわけです。

なお、大声だしたり、騒いだりしたら、近所迷惑でございますよー。

ただ、まあリスクマネジメントはしないといけませんな。

「夜、外で、座るまたは寝る」

わけですからね。

一番カンタンなのは、自分の家の庭とか、屋上とかで見る。ですが、なんというかそんな環境がゲットできる人は限られますなー。となると、公開空き地なり公園なりでということになります。その際も。

  • 犯罪注意! まあ、せめて防犯ブザーは持ちましょう。複数人でやるのも手です。
  • 動物注意!
  • 自動車にひかれないように、道路や駐車場は避ける!
  • もちろん、他人の土地にかってに入っちゃダメ! 公園はその点いいですな。

でも、むー、結構めんどくさいですなー。まあ、20分くらい見れば成果はあがりますので(もちろん一晩中見てても楽しいですが)、なにがしかの工夫はできるかと思います。

写真とか撮れる?

はい、撮れますが、ふつうの星より難しいです。なにしろ、いつ流れるかわからないですからね。一眼レフカメラで感度をあげ、「三脚に固定し」ひたすら自動で連写を続ける(シャッター速度は5秒とか10秒)というのがよいかと思います。キヤノンのWebサイトでも中西さんというプロカメラマンがこの方法を推奨しています。

なお、三脚持ってないという人は、カメラを上向けて置いておくという荒業もありますよ。ようは固定できればいいのでございます。流れ星、どこにでるかどうせわからないので、構図もなにもございません。

あと、コンデジでもソニーのサイバーショットのように高感度が得意なものであれば勝算はあるかな? 「動画モードで」撮影するとよいかもです。ともかく「うまくいけばラッキー」くらいに思ってやってくださいませ。いや、東明もまだうまく撮れていないんですよー正直なところ。今年はちょっと挑戦しようとおもっちょります。

流れ星と流星群についてちょっとだけ知っとく。

さて、見るものがなんだか知っとくと、経験の価値もあがるかもしれない。ってなわけで、ちょっとだけ解説をします。

まず、流れ星ですが、これは地球が失っている、太陽系誕生46億年前の歴史の証人なのです。

流れ星は、もともとは、太陽系ができるときに、太陽や惑星になれず、遠くに取り残されたチリや氷が集まった小天体の一部でした。それが、他の小天体との接近など、なんらかのはずみで氷漬けの太陽系の果てから、地球のような太陽の近くによってくると、氷が溶け、氷につなぎとめられていたチリが宇宙空間にまきちらされます。そうなった小天体を人々は「彗星」というのですな。

この彗星からまきちらされたチリが、地球に衝突することがあります。すると地球の大気で急ブレーキがかかって高温を発し、周囲の大気を発光させるのですな。これが流れ星として見えるわけです。

チリのサイズはよく「コーヒー豆より小さい」といったいいかたをします。重さも1g以下。そんなものが、大気を大規模に光らせるわけです。で、そのチリは地球の表面で全面熱くなって失われたので、貴重な太陽系誕生時の情報をのせたフリーズドライ製品というわけなんですね。うまいこと地球の大気の発光とよりわけられれば、チリが主に何でできているか? といった情報が得られるわけなんですな。

ところで、流星群はどうなんでしょう? 同じ彗星からは多数のチリがはきだされますが、おおむねもともとの彗星と同じ軌道をとります。多数のチリの集団となるわけですな。それと地球が衝突すると、多数のチリがつぎつぎと発光する。それも同じ方向からぶつかってくるのが流星群です。このばあい、彗星の軌道と地球の軌道がだいたい交差していなければいけません。その交差点は決まった場所になるので、毎年同じ時期に流星群が見られるのです。

そのうちチリの集団の軌道もずれてきて、流星群として見えなくなったり、逆にそれまで見えなかった流星群が見えるようになったりもします。もちろんあらたな彗星の接近で、新流星群が誕生することもあるわけですな。さらに、彗星が繰り返し接近するハレー彗星のような場合は、接近のたびに流星群の流れ星の数が増えることがあります。極端な例が11月にあるしし座流星群で、普段は表でいう★ひとつ、つまり1時間に5個程度なのですが、多いときは

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と1時間に10万個ということもあります。

これが彗星の周期である33年ごとに期待されるのですな。前回は2001年に日本でも1時間あたり3000個の流星が見られましたよー。次は2032年ごろですかね。うん、あと10年ちょい、楽しみにしてましょね。

とまあこんなのが、ふつうの解説になります。え? 退屈? まあ、流れ星を1個みたら、どうでもよくなるのが、流れ星のいいところですので、そこは流しておいてくださいませー。

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。