流れ星は、いつどこに見えるかわからないうえ、見るチャンスもそんなにありません。が、ちょっとしたコツでぐっと見つけやすくなります。宝くじの当選のおまじないよりは、ちょっと確実な流れ星を見つけるコツをご紹介します。とりあえず12月14日がふたご座流星群のピークだから見とけってほかにもいくつか。プラス流れ星についてのウンチクでございます。

いつ見えるかわからなくて、見えたらすぐに消える。花火もそうですが、流れ星の魅力ってのはそこにありますね。ただ、花火だと人間がコントロールしていますから、しかけておいて「サプラーイズ」なリア充演出が可能ですが、天然の流れ星はそうはいきません。それでも、流れ星を見たい、見せたいという向きにはチョットしたコツがあるのです。100%とはいいませんが、流れ星を見つけるコツですな。今回は、サイエンスな見地からご紹介いたします。

コツその1 日付が大切。冬なら、ふたご座流星群(12月14日)の日に見よ

流れ星は、太陽をめぐる砂つぶと、地球の空気との衝突で光ります。砂つぶはどこにあるかわからず、光るのも0.5秒間くらい。だれかが「あっ流れ星」といわれても、ソッチを向くまでに消えてしまうようなものですな。

流れ星そのものは、しょっちゅう起きてはいますが、明るくハッキリ見えるとなると、1時間に5回程度です。マア、空の適当な方向を1時間も見続ければ、1個くらいは流れ星は見えるのです。ただ、なんというか、野外で1時間、空をただ見続けるというのは、結構たいそうなことでございますな。なんもせずに1時間、じっと何かを見る、なかなかできはしません。

その1時間をじゃあ、5分間にしたらどうでしょうか? なんとかなりそうですな。確率10倍。1時間に50回流れ星が流れればいいんですな。そんなことはあるのかというと、年に2回あるのですな。それが12月14日のふたご座流星群と、8月12日のペルセウス座流星群です。この2つの流星群のピークの1日間は、流れ星の見える数が5~10倍になるんですな。

日を選べばよい、これはとてもかんたんなコツなわけです。とりあえず12月14日は、5分、いや10分間、空を見上げてみませんか。

2016年12月のふたご座流星群 (画像提供:国立天文台 天文情報センター)

コツその2 明るい街灯や月を直視しないようにする

人間、明るいものを見ると、かすかな星の光がかなり見にくくなります。騒音のなかで音楽を聴くと、聞き取りにくいというようなものですな。外で、星を見るときは、街灯がまったくないところというわけにはなかないかないのですが、街灯を直視しないだけでも、かなりマシになります。手で隠すだけでもOKです。

コツその3 近視・乱視の人は遠くが見えるメガネをかける(数千円投資)

星は、特別に目がよくなくても見えます。ただ、矯正視力が0.5とかそれ以下だと、見える数がグッと減るのですな。目がよければ文句なしですが、ほとんどの人は、乱視や近視ですよね。ふだんはあえて、あまりキッチリとあってないメガネをつかっていると思います。そうじゃないと疲れますからね。でも、流れ星や星を見るだけなら、遠方でバッチリピントがあうメガネをあつられておくといいですよ。最近は安くソコソコのメガネをつくってくれるお店もありますな。フレームは大きめで、オプションは一番安くていいので、遠方でキッチリあう、星を見る専用のメガネをもっておくというのはちょっと贅沢でしょうかね。景色を楽しむとか、ライブとかスポーツ観戦にもOKですので、投資するのはいいかもです。なお、ふだんの生活にはこのメガネ、かえって危険なのでオススメしません。

コツその4 寝転がって見る

流れ星は、空のどこに見えるのか、わかりません。なので、できるだけ空を広く見ると、見える確率があがります。それに最適な姿勢は、寝転がってみることです。ただ、野外で寝転がるというのは、危ない面もあります。昼間ならいいんですが、夜ですからね、駐車場などでこれをやると、最悪、気づかれずに車にひかれかねません。安全な場所、たとえば屋上とかベランダ、庭先のように、ほっといて大丈夫な場所を使うのがひとつですな。

また、地べたに寝転がると、背中から冷えたり、ゴツゴツ痛かったり、ろくなことがありません。寝椅子とかコットという屋外ベッドを使えればいいですね。寝椅子は、数回で使い捨てるのであれば安物で問題ないです。数千円から通販で売ってます。コットは、1万円ちょいですな。これはかなり快適です。ただ、寝ちゃわないように気をつけねばなりません。

金などかけられるか! というのであれば、大きめの段ボールをしくのがいいですね。ドロドロになってしまうので、あとの始末がちょっと面倒ですけれどね。かなり効果がありますのでおためしにはよいかと思います。

コツその5 クルマから見る

夜間にクルマを運転していると、意外と流れ星をよく見ます。視野も限られるのにナゼ? と思いたくなるのですが、実は流れ星の数は、頭の真上よりも水平線に近い方向が多いのです。流れ星は、高さ100km程度で発光します。頭の真上だと、自分の上空100kmの流れ星のみが見えるのですが、水平線の方を見通すと、近くの上空流れ星、遠くの上空流れ星をいっぺんに見ることになり、数が増えるんですな。クルマからの景色は、水平線に近いところの景色になるので、見る確率が増えるというわけです。また、クルマの車内は基本暗くしますし、道路を走っていると、前方は遠くまで開けていることがよくあります。道路の方向には建物がないですからね。

ただ、危ないですね。運転しながら流れ星を観察するというのは。そこで、高速のサービスエリアなど遠くを見えるポイントで安全に停車させ、かつ街灯をさけて、前をながめているというのがよくなります。防犯上、クルマのロックをするとか、寒さ対策でアイドリングかけておくとか、そうした対策は必要です。まあ、ヤバイなと思ったら、その行動はやめた方がいいでしょうな。

ということで、いくつかのコツをご紹介してまいりましたが、いかがでしょうか。流れ星は、空を広く、長く見ることで出会えます。最近は、ネット中継などもよく行われています。まあ、モニターで見ても、流れ星は感動しますけれど、やはりホンモノは格別です。花火の中継と、花火そのものを見る違いといえばいいんでしょうか。ぜひ、流れ星、ねらってくださいませー。

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。