この半導体ニュースのまとめ

・SK hynixが清州に80兆ウォンを投じ、NAND新工場「M17」を建設する計画を発表
・M17は2027年着工、2029年上半期稼働予定で、後工程新工場のP&T7と合わせ清州への投資額は100兆ウォン規模に
・SKグループは忠清圏に1GW規模のAIデータセンターも構築を計画

SK hynixのクァク・ノジョン社長兼CEOが7月2日、韓国忠清南道牙山市で開かれた同国大統領召集の「忠清圏先端産業発展ビジョン国民報告会」にて、韓国中部の忠清圏の競争力強化に向けた 「忠清圏半導体-AI投資計画」を発表した。

同社によるとNAND需要急増への対応として忠清北道清州市の既存NAND量産拠点(ファブM11/12、M15/15Xが設置)に80兆ウォン(約8兆円)を投じ、新工場「M17」の建設を行うという。2027年に着工、2029年上半期の稼働を計画している。

また、先端パッケージングの強化に向けた新後工程ファブ「P&T7」の建設が2026年4月より開始されている(2027年末完成予定)が、こちらの投資額20兆ウォンと併せて清州に100兆ウォンが投じられることとなる。

清州が投資先に選ばれたのは、すでに大規模な敷地や安定した電力、水などのインフラの確保のめどが立っているためであるほか、既存のNANDファブと連携することで生産の効率化を図れることもメリットとしてあげている。

NASDAQ上場により工場拡張資金を調達

また同社は、2026年7月10日に米国のNASDAQ市場に上場予定で、上場による資金調達額は約280億ドル(約4.5兆ドル)が見込まれており、得られた資金を活用してメモリ工場の拡張を図るとされている。

韓国サプライチェーン情報によると、同社はASMLから総額11兆9496億ウォン(約1.3兆円)相当のEUV露光装置を購入する予定で、その支払いにも上場で得た資金を充てる模様である。

SKグループとして忠清圏に1GW規模のAIデータセンターを構築へ

また、SKグループとしては、傘下のSK telecomを中心にAIデータセンターインフラを韓国全土に拡大していく計画で、150兆ウォンをかけて全体で15GW級のAIデータセンターを段階的に構築する計画。その中で忠清圏には1GW規模のAIデータセンターが構築予定で、半導体生産と併せたAI産業エコシステムを構築していくとしている。

Samsungも140兆ウォン規模を投資へ

競合のSamsung(サムスン)グループも同イベントにて総額140兆ウォンの投資計画を発表している。内訳は、Samsung Displayの牙山OLED(有機EL)生産ライン拡張に67兆ウォン、Samsung Electronicsの温陽と天安のHBMアセンブリ工場に56兆ウォン、Samsung SDIの天安の次世代バッテリーマザーライン構築に9兆ウォン、Samsung Electro-Mechanicsの世宗のAIサーバパッケージ基板生産拠点設立に8兆ウォンとなっている。

韓国の李在明 大横領は、同イベントにて総額392兆ウォンの投資で忠清圏の先端産業を発展させると宣言。内訳は、Samsungグループの140兆ウォン、SK hynixの100兆ウォン、SK telecomの150兆ウォンのほか、バイオ企業であるCelltrionの2兆ウォンとなっており、すべて民間投資である。

  • 李在明 大統領の392兆ウォン投資宣言

    同イベントにおける李在明 大統領の392兆ウォン投資宣言 (出所:韓国大統領府)

NAND増産投資に慎重姿勢のキオクシア

なお、NANDで競合する日本のキオクシアは、6月開催の株主総会にて、太田裕雄社長が売上高トップを目指すことを宣言したことが伝えられているが、増産に向けた投資に対しては慎重な姿勢を崩していない。メモリ産業は好不況の波が激しいためだが、時期は不明ながら、次の投資としては北上工場第3棟の新設に向けた議論が進められているとされる。