この半導体ニュースのまとめ

・コンシューマ向け半導体チップ市場は2032年に5622億ドルへ
・2026~2032年の年平均成長率は約6.55%とYH Researchが予測
・オンデバイスAI、AIスマホ、AI PC、XR、ウェアラブルが新たな成長領域に

YH Researchは8月17日、コンシューマエレクトロニクス向け半導体チップの製品定義、技術動向、市場規模、競争構造、用途、地域構成、バリューチェーンの変化などを分析した「2026年 世界のコンシューマエレクトロニクス向け半導体チップ市場調査レポート」を発表した。

同レポートによると、世界のコンシューマエレクトロニクス向け半導体チップ市場規模は2025年の約3486億ドルから2026年に約3842億ドルへと成長し、2032年には約5622億ドルに達し、2026年から2032年までの年平均成長率は約6.55%と予測されるという。

  • 世界のコンシューマエレクトロニクス向け半導体チップ市場規模推移予測

    世界のコンシューマエレクトロニクス向け半導体チップ市場規模推移予測 (出所:YH Research)

AI搭載機器が1台当たりの半導体搭載額を押し上げ

コンシューマエレクトロニクス向け半導体チップを同社では、スマートフォン(スマホ)、タブレット、PC、テレビ、ゲーム機、ウェアラブル機器、ワイヤレスオーディオ製品、スマートホーム機器、一般消費者向けカメラ、XR機器などに搭載される集積回路および半導体デバイスと定義。主な対象には、プロセッサ/SoC、メモリ、アナログ・電源管理IC、RF・接続IC、センサ、ディスプレイドライバ、オーディオICなどが含まれる。

担う機能としては、OSやアプリケーションの各種処理、CPU・GPU・NPUによる演算、画像・音声・映像処理、データ保存、セルラー通信、Wi-Fi、Bluetoothなどの無線接続、画像・動作・環境情報の検出、表示・音声制御、バッテリー管理、電力変換などとしている。

コンシューマ向け半導体市場の成長は、各種の端末出荷台数の増加に加えて、1台当たりの搭載金額の増加によっても支えられるとする。オンデバイスAIとそれに伴うメモリ容量の増加、高度なカメラ機能、高速無線通信、センサの高機能化、省電力に対するニーズの高まりなどが、半導体需要を押し上げる主な要因となるとしている。

AIスマホ、AI PC、スマートグラスが新たな成長領域に

用途別では、スマホとPCが引き続き最大用途となる一方、AIスマホ、AI PC、スマートグラス、ヘルスケアウェアラブル、スマートホーム端末、高性能ゲーム機器など新たな成長領域になることが期待され、エッジにおける生成AI利用、ローカル推論モデルの大型化、LPDDRや組み込みストレージの高度化、Wi-Fi 7以降の通信規格、複数カメラや高画素イメージセンサ、スマートホーム機器の接続率向上、軽量XRおよびAIウェアラブルの商用化などが成長要因になるとしている。

日本はイメージセンサ、材料、装置、パワー半導体に強み

地域別に見ると、米国はCPU、GPU、モバイルプラットフォーム、RF接続、EDA、半導体IP、ソフトウェアエコシステムで強い競争力を持つ。一方で、世界の半導体製造能力に占める米国の比率は、1990年の37%から2022年には約10%まで低下しており、現在、米国内での製造拡大に向けて先端ロジック、メモリ、アナログ、先端パッケージングへの再投資が進められている。

最大の前工程市場である台湾は先端ファウンドリを中心にパッケージング、コンシューマエレクトロニクスのサプライチェーン連携で重要な役割を担うほか。韓国はDRAM、NAND、ディスプレイ関連半導体、モバイルプロセッサで強みを発揮している。

日本は、CMOSイメージセンサ、半導体材料、半導体製造装置、パワー半導体、一部のアナログ半導体製品で高い技術力を有すると分析。欧州はアナログ、パワー、MCU、センサ、セキュリティ半導体に競争力を有し、欧州CHIPS法を通じて供給網の強靱化と域外依存の低減を目指した動きを見せている。

中国と東南アジアでもサプライチェーン投資が拡大

中国は、スマホ、テレビ、スマートホーム、ウェアラブル、ワイヤレスオーディオ製品の主要な製造・消費市場であることを背景に中国企業が中心となって、マルチメディアSoC、IoT通信、ディスプレイドライバ、タッチ・指紋認証、CMOSイメージセンサ、NORフラッシュ、MCU、電源管理製品の範囲を拡大している。

今後の成長機会は、端末ブランドとの共同開発、成熟プロセスの活用、ローカルサプライチェーン構築、スマートホーム普及、エッジAI導入から生まれるとみられるとしているほか、東南アジアでも、電子機器組立、半導体パッケージング・テスト、関連サプライチェーンへの投資が拡大する見通しだという。

  • 主要地域の構造と市場機会分析

    主要地域の構造と市場機会分析 (出所:YH Research)

先端パッケージングや端末メーカーとの共同開発が進展へ

バリューチェーンでは、上流にEDAソフトウェア、プロセッサアーキテクチャ、インタフェースIP、シリコンウェハ、フォトレジスト、電子ガス、ターゲット材、フォトマスク、パッケージ基板、リードフレームなどが位置付けられるほか、露光、エッチング、成膜、イオン注入、洗浄、計測・検査、組立・テストなどの各種製造装置も重要となる。

中流は、ファブレス企業、IDM、ファウンドリ、OSAT企業で構成され、下流は、コンシューマエレクトロニクスブランド、ODM、OEM、モジュールメーカー、流通企業が位置し、スマホ、PC、テレビ、ゲーム機、オーディオ、ウェアラブル、スマート家電、一般消費者向けカメラ、XR製品に供給されることとなる。

主要な参入障壁としては、コアIP、先端プロセス設計、アナログ・RF技術、OSと開発ツールへの対応、顧客認証、歩留まり管理、知的財産、継続的な研究開発投資としており、高性能SoC、CPU、GPU、NPU、モバイルメモリ、CMOSイメージセンサ、RFフロントエンド、高性能電源管理製品に比較的高い付加価値が集中しているとしており、こうした状況を踏まえ、今後は製造地域の分散、成熟プロセス能力の確保、先端パッケージング、複数調達、端末メーカーとの共同プラットフォーム開発が進むと見込んでいる。

半導体市場はAIデータセンター分野が市場の大半を占めるようになることが予想されているが、そうした中にあってコンシューマエレクトロニクス分野は、今後の成長が期待されるエッジAI領域に位置づけられ、AI機能のローカル実装が進むことで、1台あたりの半導体の価値が高まり、市場の成長につながっていくこととなりそうである。