この半導体ニュースのまとめ

・荏原が半導体業界向けに-60℃対応の極低温チラー「RJ-TTC型」を開発・出荷
・従来品比で電力・水の消費量を約30~50%削減可能
・半導体の微細化・高集積化に伴うエッチングプロセスの低温化需要に対応

荏原製作所は8月13日、半導体業界向けに-60℃対応の極低温チラー「RJ-TTC型」を開発し、出荷を開始したことを発表した。同製品は、半導体製造装置の中でもエッチング装置の冷却用途を想定したもので、同社が培ってきた冷熱技術とポンプ技術を組み合わせることで、省エネルギー化と水使用量の削減を図った製品となる。

  • -60℃対応の極低温チラー「RJ-TTC型」

    -60℃対応の極低温チラー「RJ-TTC型」 (出所:荏原製作所)

エッチングプロセスの低温化・高出力化に対応

近年の半導体製造では、微細化と高集積化の進展に伴い、エッチングプロセスにおいて高精度化、低温化、高出力化が求められている。こうしたプロセス要求の高度化により、エッチング装置の温度制御を担うチラーにも、より低温で安定した冷却性能が求められるようになっている。

一方で、低温化や高出力化が進むほど、チラー側では消費電力や冷却水使用量の増加が課題となる。半導体工場では製造装置そのものの性能向上に加え、ユーティリティ負荷の低減や省エネルギー化も重要なテーマとなっており、冷却装置の効率改善はファブ全体の運用コストや環境負荷低減にもつながる。

小型省エネポンプと独自制御で消費量を削減

今回開発されたRJ-TTC型では、冷却液循環用に開発した小型省エネポンプを搭載したほか、負荷状況に応じてリアルタイムにチラーを最適制御する独自の省エネアルゴリズムを採用することで、電力および水の消費量を削減することを可能にしたとする。

具体的には、従来品比で電力および水の消費量を約30~50%削減できるとしている。半導体製造ではプロセス条件に応じて冷却負荷が変動するため、負荷に合わせてチラーを制御できることは、不要な電力消費や水使用量の抑制につながる。

荏原はポンプや冷熱機器で培ってきた技術を有しており、今回の製品では建築・産業カンパニーの技術を半導体製造分野に応用した形となる。半導体製造装置向けでは、単に冷却温度を下げるだけでなく、装置稼働時の安定性や省エネ性能、工場側のユーティリティ負荷を含めたシステム全体での効率が重視される。

極低温チラー需要は今後も拡大へ

半導体の微細化・高集積化が続く中、エッチング工程ではより厳密な温度制御が求められるようになっている。特に先端プロセスでは、プロセス条件の制御性が歩留まりや性能に直結するため、極低温領域で安定して温度を管理できるチラーの重要性が高まっている。

荏原では、今後も極低温チラーの需要増加が見込まれるとしており、RJ-TTC型を通じて半導体業界の顧客要求に対応していく考えを示している。半導体製造装置市場では、装置本体だけでなく、冷却、真空、搬送、排気、薬液供給など周辺機器・ユーティリティ関連技術の高度化も重要になっており、同社の冷熱技術とポンプ技術を組み合わせた今回の製品は、そうした流れに対応する取り組みといえる。