SK hynixは4月22日、韓国・忠清北道清州市の清州テクノポリス産業団地において、AIメモリ向け先端パッケージ専用工場「P&T7」の建設に向けた起工式を執り行ったことを発表した。
P&T7は、HBM(High Bandwidth Memory)を中心とするAI向け高付加価値メモリ製品のパッケージングおよび最終検査(Package & Test)を担う後工程拠点で、グローバルに急拡大するAIメモリ需要への対応を目的としている。
AIメモリ時代に重要性を増す後工程
半導体の後工程は、従来は前工程で製造されたダイ(チップ)をパッケージに封止し、最終的に不具合がないのかの試験を行って、市場に出荷する工程と位置付けられてきた。しかし、AI半導体を中心とするHPC分野では、ロジックとメモリを1パッケージに集約し、高性能化と低消費電力化の両立を図る動きが加速しており、パッケージング技術そのものが、半導体全体の性能や消費電力を左右する要素となってきたことから、その重要性が急速に高まってきている。
特にHBMは、複数のDRAMダイを垂直方向に積層し、TSV(シリコン貫通ビア)などを用いて高速接続する構造を採っているため、高度なウェハレベルパッケージング(WLP)技術や厳密な検査工程が不可欠となる。P&T7は、こうしたAIメモリの製造に特化した後工程拠点として、世界的な需要の高まりに対するための戦略的拠点となることを目指すと同社では説明している。
総投資額は約19兆ウォンを予定
P&T7の敷地面積は約23万m2で、投資額は約19兆ウォンを予定。クリーンルームの面積は約15万m2で、WLPプロセスラインが約6万m2、ウェハテスト(WT)プロセスラインが約9万m2設置される予定。スケジュールとしては、2027年10月にWTライン、2028年2月にWLPラインを完成させる計画で、段階的に稼働を開始するとしている。
同施設は、同社の清州キャンパスに建設される5番目の工場で、すでに稼働済みの前工程拠点であるM11、M12、M15、M15Xと連携させる形で稼働させることで、前工程から後工程までを一体化したSK hynixのAIメモリ生産の中核拠点の地位を確固たるものにすることになると同社では説明している。
また、この建設計画について同社では、建設期間中は1日平均320人、ピーク時で最大9000人の作業員が現場に配置されるとするほか、完成後も約3000人の従業員が常駐するため、地域社会への影響も大きいとしているほか、新工場の稼働が地域のインフラの拡張を促進し、地域住民の生活環境の改善などにもつながることが期待できると、投資効果が地域全体に及ぶことを強調する。
AI半導体需要の高まりが、DRAMサプライヤ各社のHBMへのリソースシフトを引き起こし、全体的なDRAM不足となり、結果としてメモリ価格が高騰し、かつ高止まりが続く状況となっている。TSMCなどは、少なくとも2026年はAI需要が続くとの強気の見通しを示しているほか、DRAMメーカーの中には2026年分の生産能力分の受注は完売済みとするところもある。市場調査会社であるガートナーも、2026年および2027年はメモリのビット容量の伸びは限定的で、その代わり需要の高止まりを背景とした価格の高騰が続き、メモリ市場の成長を後押しするとの見通しを示している。
こうした状況の改善には今回のSK hynixのように生産能力の増強以外にないが、実際に後工程を経て、製品が市場に本格的に供給されるようになるのは今回のP&T7を例にとれば2028年以降となることから、しばらくはAI半導体を中心としたメモリ調達の動きが半導体市場全体に影響を与え続けることとなりそうである。

