この半導体ニュースのまとめ
・Microchipが宇宙向けチップスケール原子クロック「Space CSAC-SA65」を発表
・30kRad以上の耐放射線性、-40~+80℃動作、120mW未満の低消費電力を実現
・LEO衛星のタイミング制御、PNT、衛星間クロスリンクなどでの活用を想定
Microchip Technologyは、原子クロックのポートフォリオを拡充し、宇宙システム向けチップスケール原子クロック「Space CSAC-SA65」を発表した。New Space市場の拡大に伴い、衛星と携帯電話間の通信、代替ナビゲーション、地球観測など、短期間のミッションを支える小型かつ低コストな宇宙用ハードウェアの需要が高まっていることに対応する。
30kRad以上の耐放射線性と-40~+80℃動作に対応
Space CSAC-SA65は、Microchipの従来製品「Space CSAC-SA45」で培った実績をベースに、耐放射線性と温度性能を強化した製品となる。耐放射線性は30kRad以上で、動作温度範囲は-40~+80℃。消費電力は120mW未満、体積は17cc未満に抑えられており、サイズ、重量、消費電力に制約のある衛星設計向けに最適化されている。
また、1PPS入出力機能を内蔵しており、衛星システムの同期に利用できる。原子クロックとしての安定性により、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)信号などの外部タイミング基準に常時依存することなく、長時間にわたってタイミング精度を維持できる点も特徴となる。
CubeSatにも原子クロック精度を提供
Microchipのfrequency and time systems business unit担当副社長であるRandy Brudzinski氏は、低消費電力の原子クロックが極限環境で動作できるようになることで、CubeSatのような小型衛星でも原子クロックレベルの精度を利用できるようになると説明している。
宇宙機では、GNSS信号が利用できない環境や、衛星間での同期が必要な用途において、高精度なタイミング基準が重要となる。Space CSAC-SA65は、こうした用途に対し、従来の耐放射線強化タイミングソリューションに代わる、小型かつ低消費電力の選択肢を提供する。
COTS採用でリードタイム短縮とコスト低減を狙う
Space CSAC-SA65は、耐放射線性を備えた民生用電子部品を用いたCOTS(Commercial Off-The-Shelf:民生品)として製造される。これにより、従来の宇宙グレード・オシレータと比べて、リードタイムの短縮や総コストの削減が期待できるという。
適用先としては、地球低軌道(LEO)ミッションにおける衛星のタイミングおよび周波数制御、衛星クロック基準、確実性の高いPNT(Positioning, Navigation and Timing:測位、ナビゲーション、タイミング)、衛星間クロスリンクなどが想定されている。
New Space領域では、ミッション期間やコスト、打ち上げ頻度などの考え方が従来の大型宇宙機とは異なり、小型・低消費電力でありながら十分な精度と耐環境性を備える部品への需要が高まっている。Space CSAC-SA65は、こうした市場に向けて、原子クロックの精度をより小型の衛星システムへ広げる製品と位置付けられる。
ClockstudioとCSAC開発キットでサポート
なお同製品はすでに受注を開始しており、開発環境として、Space CSAC-SA65はMicrochipの「Clockstudio」ソフトウェアに対応する。同ソフトウェアは原子クロックの制御および解析に利用できるとするほか、CSAC開発キットも提供することで、評価やシステムへの組み込みを支援するとしている。
