この半導体ニュースのまとめ
・OrbrayとElement Sixが、直径3インチ単結晶ダイヤモンド結晶の生産技術を確立したと発表
・4インチ結晶の開発に着手し、2インチ単結晶ダイヤモンドウェハは量産準備の最終段階に入った
・次世代半導体材料として注目されるダイヤモンドで、大口径化と量産性向上を狙う
ダイヤモンドウェハの3インチ結晶の生産技術を確立、4インチ開発にも着手
Orbray(旧アダマンド並木精密宝石)と英Element Sixは6月16日、次世代パワー半導体として期待されるダイヤモンド半導体の実用化に向け、直径3インチ単結晶ダイヤモンド結晶の生産技術を確立したと発表した。さらに、既存の半導体製造ラインへの適用を見据えた4インチ結晶の開発にも着手したほか、2インチ単結晶ダイヤモンドウェハについては、Element Sixの米国オレゴン州グレシャム工場で量産準備が最終段階に入ったことも明らかにした。
次世代ワイドバンドギャップ半導体として期待される「究極の半導体材料」
シリコンベースのパワー半導体よりも高性能・高機能・高効率が実現できるワイドバンドギャップ半導体としてSiCやGaNの活用が進む中、さらなる高性能化に向けた次世代ワイドバンドギャップ半導体の開発が世界中で進められている。その中でも単結晶ダイヤモンドは、熱伝導、絶縁破壊電圧、キャリア移動度、耐放射線性に優れる「究極の半導体材料」として注目を集めており、そのウェハの大型化は商用化のために重要な要素となっている。
Orbrayは2021年9月に独自のステップフロー成長法を用いた2インチ単結晶ダイヤモンドウェハ「KENZAN Diamond」を公表しており、2024年6月にはElement Sixとダイヤモンド製造技術高度化に向けた戦略提携を締結していた。今回の成果は、その共同開発の初の具体的成果と位置付けられる。
大口径化でチップ取得数を増やし、量産コスト低減へ
今回確立した3インチ結晶の生産技術は、独自のステップフロー成長技術をさらに発展させたもので、Orbrayによると世界最大級の直径76.2mm単結晶ダイヤモンド結晶に相当する。大口径化により、1枚のウェハから取得できるチップ数の増加が見込まれ、ダイヤモンド半導体デバイスの量産コスト低減に寄与する可能性がある。現在は研磨技術の開発を進めており、製品化に向けた準備を進めているという。
2インチ量産準備は最終段階、社会実装へ足場固め
加えて、4インチ結晶の開発着手は、ダイヤモンド半導体の社会実装に向けた重要な節目になる可能性がある。4インチ化が実現すれば、既存の半導体製造ラインへの適用が現実味を増し、ダイヤモンドデバイス量産への道筋がより明確になるためだ。一方、2インチ単結晶ダイヤモンドウェハは量産準備の最終段階に入っており、デバイスメーカーや研究機関による試作・評価に加え、熱対策用途での供給も視野に入れているという。OrbrayはElement Sixとの共同開発を継続しながら、大口径化、高品質化、低コスト化を同時並行で進め、ダイヤモンド半導体の実用化に貢献するとしている。
