この半導体ニュースのまとめ

・AMDの2026年第2四半期売上高は前年同期比50%増の115億3600万ドルで過去最高を更新
・データセンター部門はEPYCとInstinctの需要拡大により前年同期比107%増の67億1800万ドル
・第3四半期売上高は130億ドル前後を見込み、HeliosやInstinct MI450シリーズの展開を加速

四半期売上高115億3600万ドルで過去最高を更新

AMDは8月4日、2026年第2四半期決算を発表した。同四半期の売上高は115億3600万ドルで、前年同期の76億8500万ドルから50%増、前四半期比でも13%増となり、四半期売上高として過去最高を更新した。

GAAPベースの粗利率は54%、営業利益は19億9000万ドル、純利益は22億9700万ドル、希薄化後1株当たり利益(EPS)は1.38ドルとなった。前年同期は、米国政府によるAMD Instinct MI308データセンターGPU製品への輸出規制に関連した在庫および関連費用8億ドルを計上していたこともあり、営業損益は1億3400万ドルの赤字だった。

  • AMDの2026年第2四半期決算概要

    AMDの2026年第2四半期決算概要。売上高は前年同期比50%増の115億ドル、データセンター部門は同107%増の67億ドルとなった (出所:AMD)

Non-GAAPベースでは、粗利率が56%、営業利益が30億9400万ドル、純利益が27億6000万ドル、希薄化後EPSが1.66ドルとなった。Non-GAAP営業利益およびEPSも過去最高を更新しており、売上拡大と粗利率改善が利益成長につながった。

AMD会長兼CEOのLisa Su氏は、データセンター部門の売上高が前年同期比で倍増したことで、売上高と収益性の双方で優れた四半期となったと説明。2026年後半についても、EPYC需要の加速、Instinctの展開拡大、Heliosの立ち上がりを背景に、強いモメンタムを維持するとの見方を示している。

データセンター部門は107%増、全社売上の58%に

  • AMDの2026年第2四半期におけるセグメント別業績

    AMDの2026年第2四半期におけるセグメント別業績。データセンター部門が全社売上高の成長をけん引した (出所:AMD)

部門別では、データセンター部門の売上高が67億1800万ドルとなり、前年同期比107%増、前四半期比16%増と大きく伸びた。営業利益は21億300万ドルで、前年同期の1億5500万ドルの赤字から大幅に改善した。営業利益率は31%となった。

  • データセンター部門の売上高は前年同期比107%増の67億ドル

    データセンター部門はEPYCプロセッサとInstinct GPUの需要拡大を背景に、売上高が前年同期比107%増の67億ドルとなった (出所:AMD)

データセンター部門の売上拡大は、AMD EPYCプロセッサの強い需要と、AMD Instinct GPUの継続的な立ち上がりが主因である。AMDによると、同部門は第2四半期の全社売上高の58%を占めており、同社の成長エンジンとしての位置付けが一段と鮮明になった。

同社は6月に開催した「AMD Advancing AI 2026」で、ラックスケールAI基盤「AMD Helios」、AMD Instinct MI450シリーズGPU、第6世代EPYC CPU、Pensando SalinaおよびVulcanoネットワーキング製品などを発表している。これらの製品群は、クラウド、エンタープライズ、AI、HPCを横断するデータセンター向けポートフォリオとして位置付けられる。

また、Anthropicとは、AMD Heliosラックに搭載するAMD Instinct MI450シリーズGPUを最大2GW規模で展開する戦略的合意を締結したほか、MicrosoftとはAzure上でAMD Heliosおよび第6世代EPYC CPUを大規模に展開する協業を拡大している。

ROCm.aiやMI350Pで既存インフラ向けAIも強化

AMDはAI向けソフトウェア基盤の強化も進めている。第2四半期には、AIネイティブな開発者体験を提供する「ROCm.ai」を発表し、AMDプラットフォーム上でのAIアプリケーション開発、展開、最適化を容易にする取り組みを示した。

さらに、既存インフラでAIアクセラレーションを利用しやすくするPCIe対応GPU「AMD Instinct MI350P」も発表。MI350Pは、ラック全体を刷新するのではなく、既存サーバインフラにAIアクセラレータを導入したい企業顧客向けの選択肢となる。

AIインフラ市場では、GPU単体の性能に加え、CPU、GPU、ネットワーク、ソフトウェア、ラックスケール設計を組み合わせたシステム全体の最適化が競争軸になりつつある。AMDは、Helios、MI450シリーズ、EPYC、Pensando、ROCmを組み合わせることで、AI学習・推論向けの統合基盤を構築する方針を強めている。

クライアントは堅調、ゲーミングは半減速

クライアント・アンド・ゲーミング部門の売上高は38億4100万ドルで、前年同期比6%増、前四半期比7%増となった。営業利益は5億8200万ドルで、前年同期の7億6700万ドルから24%減少した。

内訳を見ると、クライアント事業の売上高は31億ドルで前年同期比23%増となった。AMD Ryzenプロセッサの需要拡大とシェア拡大が寄与したとしている。第2四半期には、ローカルでエージェンティックAIワークフローを構築、テスト、実行する開発者向けシステム「Ryzen AI Halo」搭載製品を投入したほか、AMD 3D V-Cache技術をエンタープライズワークステーション向けに展開するRyzen PRO 9000シリーズのラインアップも拡充した。

一方、ゲーミング事業の売上高は7億7900万ドルで、前年同期比31%減となった。主にセミカスタムの売上減少が影響した。全体としてはクライアント事業の伸びがゲーミング事業の減少を補い、部門売上高は前年同期比で増加した形となる。

  • クライアント・アンド・ゲーミング部門の概況

    クライアント・アンド・ゲーミング部門の概況 (出所:AMD)

また、Ciscoとの協業では、Ryzen AI HaloシステムとCiscoのネットワーキング、可観測性、セキュリティ機能を組み合わせ、企業がハイブリッドおよびローカルのエージェンティックAIを大規模に導入・管理できるようにする取り組みも示された。

エンベデッド部門は19%増、フィジカルAI向け製品を拡充

エンベデッド部門の売上高は9億7700万ドルで、前年同期比19%増、前四半期比12%増となった。営業利益は3億8600万ドルで、前年同期比40%増、営業利益率は40%となった。複数のエンド市場で需要が強まったことに加え、製品ミックスの改善が利益率向上につながった。

  • エンベデッド部門の概況

    エンベデッド部門の概況 (出所:AMD)

第2四半期には、ロボティクス、産業オートメーション、インテリジェント組み込みシステム向けに、x86 CPU、GPU、AIアクセラレーションを統合した「Ryzen AI Embedded X100シリーズ」を発表したほか、フィジカルAI向けソリューション「AMD Kria AI」も発表。AMD Kria AI SOMおよびAMD Kria AI Robotics Developer Platformを通じ、ロボットや産業機器など、現実空間で動作するAIシステムの開発を支援する姿勢を打ち出している。

さらに、テスト・計測、プロフェッショナル映像編集、通信、航空宇宙・防衛向けに、メモリ搭載型の「Versal Premium Series Gen 2 Memory on Package adaptive SoCs」も投入するなど、データセンターAIだけでなく、エッジやフィジカルAI分野でも組み込み向けポートフォリオの拡充を進めている。

現金および短期投資は131億ドルに拡大

バランスシート面では、2026年第2四半期末の現金、現金同等物および短期投資が131億1100万ドルとなり、前四半期末の123億4700万ドルから6%増加した。売掛金は72億8100万ドル、棚卸資産は84億6800万ドル、総負債は32億2600万ドルだった。

営業活動によるキャッシュ・フローは23億6600万ドル、フリーキャッシュ・フローは15億5800万ドルとなった。フリーキャッシュ・フロー・マージンは14%で、データセンターを中心とした売上拡大がキャッシュ創出にも寄与している。

AMDは、データセンターAI、クライアントAI、組み込みAIを含む幅広い市場で成長機会があるとしており、強いバランスシートを背景に、製品開発、ソフトウェア、パートナーシップ、M&Aを含む投資を継続する構えを見せている。

第3四半期の売上高は130億ドル前後を予想

なお、同社は2026年第3四半期の見通しとして、売上高を130億ドル前後、変動幅をプラスマイナス3億ドルと予想している。この中央値は前年同期比で約41%増、前四半期比で約13%増に相当する。

  • AMDの2026年第3四半期業績見通し

    AMDの2026年第3四半期業績見通し。売上高は130億ドル前後、Non-GAAP粗利率は約56%を見込む (出所:AMD)

Non-GAAPベースの粗利率は約56%、営業費用は約36億5000万ドル、その他収支は約5500万ドル、実効税率は税引前利益の13%、希薄化後株式数は約16億6000万株を見込む。

同社は2026年後半にデータセンター部門の売り上げがさらに拡大し、全社売上高の成長と収益拡大をけん引するとの見通しを示すなど、AI需要の拡大が、GPUだけでなくCPU、DPU、ネットワーク、ソフトウェア、ラックスケール設計までを含めたデータセンター全体の投資を押し上げるとしており、EPYC、Instinct、Helios、Pensando、ROCmの組み合わせによりAIインフラ市場での存在感を高める動きを見せている。