この半導体ニュースのまとめ

・Lam ResearchがオーストリアのザルツブルクにPLPの中核拠点を開設
・R&Dから量産移行までを一体化し、AI半導体向け開発スピードを向上
・ウェハからパネルへの移行を見据えた基盤整備を加速

半導体製造装置大手のLam Research(ラムリサーチ)は、オーストリアのザルツブルクにパネルレベルパッケージング(PLP)の中核拠点「パネルセンター・オブ・エクセレンス(CoE)」を開設したことを発表した。AI半導体向け先端パッケージング技術の開発を加速するための取り組みで、同社が進める先端半導体パッケージング領域への投資拡大の一環となる。

AI時代に重要性が増す先端パッケージング

生成AIや高性能コンピューティング(HPC)の普及に伴い、半導体の性能向上はロジックの微細化だけでなく、複数チップを組み合わせる異種集積や高密度接続に依存する割合が高まっている。

こうした中、チップ間接続の帯域や電力効率を左右する先端パッケージ技術がシステム性能を向上させる鍵となっており、従来のウェハベースの製造から、より大面積で高効率なパネルレベルへの移行が検討されている。

ウェハからパネルへ、製造パラダイム転換の兆し

現在の先端パッケージの設計は、従来用いられてきた300mmウェハでは大型化に伴う取れ数の問題などが生じており、業界ではスケーラビリティと生産性向上の観点からパネルレベルプロセシングへの関心が高まっている。

パネル化により、ウェハよりも大型かつ矩形の基板上で複数デバイスを同時処理できるため、「大面積化への対応」、「コスト効率の向上」、「スループットの改善」といったメリットが見込まれる一方、工程管理や均一性確保といった新たな技術課題も顕在化している。

「研究→評価→量産」を一体化した開発拠点

今回、Lam Researchが開設したザルツブルクの拠点は、パネルレベルプロセシングに特化した同社初のウェットプロセス研究開発拠点であり、「研究開発」「評価・最適化」「量産化検証」を一体的に実施できる体制を構築した点が特徴となる。

これにより、顧客やパートナーとの共同開発を通じて、コンセプト段階から量産対応までの移行を加速する狙いがある。

Semsysco買収技術を中核に欧州R&D強化

同拠点は、Lam Researchが2022年に買収したSemsyscoの技術を基盤としており、パネルレベルのウェットプロセシング技術に関するノウハウが統合されている。

これにより同社は、「グローバルラボネットワークの拡張」、「欧州における研究開発拠点強化」、「先端パッケージ分野での技術蓄積」を同時に進める構えとなる。

装置技術をウェハからパネルへ拡張

同社はめっき、洗浄、エッチングといったウェットプロセス分野での技術基盤を持ち、KallistoやPhoenixなどの装置プラットフォームを展開してきた。

今回の投資は、こうした装置技術をウェハからパネル領域へと拡張するものであり、AI半導体の高密度化・大面積化に伴うパッケージ需要の変化に対応する戦略といえる。

開発のスピードが競争軸に

先端パッケージ分野では、設計、材料、装置の高度な統合が求められるため、技術開発のスピードが重要な競争要素となっている。

今回のCoEの設立により、「高速な試作・検証サイクル」「初期段階での評価」「顧客との共同開発」が可能になると同社では説明しており、それにより技術導入までの時間短縮とリスク低減を狙う。

パネル化がもたらす次世代製造基盤

半導体製造はこれまでウェハの活用を前提に進化してきたが、AI時代に入りパッケージの大型化・複雑化により、その前提が変わりつつある。

そうした意味でLam Researchの今回の取り組みは、本格的なウェハ活用からの転換に向けたパネルレベルの量産技術確立を、半導体製造装置が主導する形で行おうとするものであり、今後の半導体製造プロセスの方向性を占う動きとなるといえる。

AI半導体の進展に伴い、パネルレベルパッケージングに本格的に量産が移行できるかどうかは業界の重要論点の1つであり、今回の拠点整備はその実現に向けた基盤構築として位置付けられるものと考えられる。