この半導体ニュースのまとめ
・堀場エステックが、MFCや薬液濃度モニターを生産する京都福知山工場の本格稼働を開始
・自働化ラインや自動搬送装置を導入し、国内のMFC生産能力を将来的に最大約3倍、薬液濃度モニターを最大約2倍まで拡張可能
・研究開発拠点との連携や再生可能エネルギー活用も進め、半導体事業の安定供給体制と脱炭素対応を強化する
HORIBAグループの半導体事業を手掛ける堀場エステックは6月11日、同社の主力製品であるマスフローコントローラー(MFC)や薬液濃度モニターなどを生産する「京都福知山工場」の本格稼働を開始したと発表した。自働化と効率化を追求した量産技術の基幹工場として、需要変動が生じやすい半導体市場でも柔軟に対応できる生産体制を構築し、半導体事業のさらなる安定供給体制確立につなげる狙いである。
自働化ラインと自動搬送で量産技術の基幹工場に
京都府福知山市三和町に立地する同社の京都福知山工場は、敷地面積3万6011m2、延床面積2万3292m2の2階建て施設で、MFCや薬液濃度モニターに加え、自社製品に用いるプリント基板も生産する役割を担う。また、高効率な生産体制の実現に向けて、自働化ラインや自動搬送装置を導入した量産技術を牽引する基幹工場と位置付けられている。
MFCの生産ではロボットアームを導入し、これまで手作業で行う必要があった調整工程を自働化する。これにより、省人化だけでなく、作業手順のばらつきを抑えた品質安定化も図ることが可能となるとする。さらに、工場内搬送にはAGVやAMRによる自動搬送ロボットを取り入れ、工程全体の効率化を進めるという。
MFCは将来最大3倍、薬液濃度モニターは最大2倍に
同社によると、自働化設備を導入した量産体制の構築により、国内におけるMFCの生産能力は将来的に最大約3倍まで、薬液濃度モニターも最大約2倍まで引き上げることが可能になるという。半導体市場は需要変動が大きい一方で、先端プロセスや量産投資の進展に伴って製造装置向け部材・計測機器の安定供給の重要性が高まっており、今回の新工場はそうした需要に中長期で対応するための供給基盤となる。
投資総額は約170億円。2024年7月に着工し、2026年1月に竣工した。従業員数は2026年5月末時点で約50名だが、2030年までに600~800名体制を目指して段階的な増強を進める計画としている。
データ統合と研究開発連携で工場運営を高度化
工場運営の面では、HORIBA独自のデータマネジメントシステムを活用し、工場内に分散する情報の一元管理を進める。MFCの生産を行うクリーンルームでは、AMCモニタリングシステムで空気中の分子状汚染物質を計測するなど、工場各所にHORIBAの計測機器を設置していることも特徴だとする。
設備の運転データや各種モニタリング情報を可視化・分析することで、生産管理とエネルギー運用の最適化を図るほか、生産工程で得られるデバイスごとの特性データを隣接する研究開発拠点「京都福知山テクノロジーセンター」と共有。AIやデジタルツイン技術の活用により、製品開発の効率化や次世代技術の早期実装にもつなげる構えだ。
ZEB実現と水素活用で脱炭素も推進
同工場は、経済産業省、環境省、国土交通省が推進するZEB(Net Zero Energy Building)を実現しており、太陽光と水素を用いたエネルギー活用にも取り組む。屋上には総面積約5000m2の太陽光パネルを設置し、発電した電力を工場内で最大限活用する。
余剰電力を使って水を電気分解することで水素エネルギーへと変換・貯蔵し、燃料電池による発電を行うことで、「つくる・ためる・つかう」のエネルギー循環を実現するという。半導体関連工場では安定稼働と環境負荷低減の両立が課題となる中、堀場エステックは福知山工場をHORIBAの計測・制御ソリューションを実装したショーケースとしても位置付け、顧客提案や技術発信の役割も担わせる。
福知山エリアを研究開発から量産までの一体拠点に
同社は、同工場の本格稼働を契機に、隣接する京都福知山テクノロジーセンターとの連携も本格化させ、福知山エリアを半導体事業の研究開発から量産までを一体的に担う拠点として確立していく方針だ。安定供給と技術革新を両輪に取り組みを加速し、計測・制御のリーディングパートナーとしてHORIBAグループの成長と世界の半導体産業の進化に貢献していくとしている。

