この半導体ニュースのまとめ

・Interop Tokyo 2026にてキオクシアがSuper High IOPS SSDを紹介
・KVキャッシュに向けた高性能SSD「CM9シリーズ」や200TB超の大容量SSD「LC9シリーズ」も紹介
・光インタフェースSSDの実機デモも展示

6月10日~12日にかけて千葉県の幕張メッセにて開催されているAI時代のインフラを支える国内最大級のインターネットテクノロジーイベント「Interop Tokyo 2026」。同展にて、キオクシアがAIシステム向け新タイプSSD「Super High IOPS SSD」として位置づけている「KIOXIA GPシリーズ」などを披露している。

  • 「KIOXIA GPシリーズ」

    参考展示の「KIOXIA GPシリーズ」

HBMの拡張を可能とするSuper High IOPS SSD

Super High IOPS SSDは、HBMを補完することを目指して開発が進められている高速フラッシュメモリ。HBMの容量は今後も増大し、それに併せて帯域幅も引き上げられていく見通しだが、それに伴いコストやスケーラビリティといった面が課題として出てくる。Super High IOPS SSDは、ユーザー側で拡張の余地がないHBMに対して、NVMe SSDとGPUの間で直接データのアクセスを可能とすることで、GPUにおけるデータ移動速度を加速させようというものだという。

ストレージとしてGPUを効果的に活用するためには、小さなブロックサイズでのデータ入出力を実現する必要があり、Super High IOPS SSDでは、512バイトのランダムリード性能を100M(1億)IOPSまで引き上げることを目指した開発が進められている。

今回のInterop Tokyo 2026にて参考出展されているモデルはKIOXIA GPシリーズの第1世代品に位置づけられるもの。2026年後半にアーリーアダプター向けにサンプル出荷を目指して開発が進められているもので、PCIe Gen6と独自のストレージクラスメモリ(SCM)技術であるXL-FLASHの第2世代技術を採用することで、10M IOPSを実現するとしている。

XL-FLASHは、16プレーンという高い並列度を実現するアーキテクチャを採用し、ワード線とビット線を短くすることで高速なリードアクセスタイムを実現する技術。容量を意識したTLCやQLCではなく、SLCないしMLCをベースに製造され、参考出展品はSLCベース(MLCベースのSLC動作モードと思われる)のものだという。容量については明らかにされなかったが、同社のXL-FLASHについての説明ではSLCで1ダイあたり128Gビット、MLCでは256Gビット/ダイとしており、パッケージあたりそれを最大8枚積層できるとしている。

ロードマップとしては、2026年の10M IOPS品のサンプル出荷を経て、2027年にはPCIe Gen7に対応した第3世代XL-FLASHベースの100M IOPS対応品の製品化を目指すことが掲げられている。

  • Super High IOPS SSD

    Super High IOPS SSDのデモの様子。立ち上がりが早い(低レイテンシ)を実現している様子が見て取れる

ちなみに、KIOXIA GPシリーズは、Interop Tokyo 2026の「Best of Show Award」のサーバー & ストレージ部門で審査員特別賞を受賞している。

KVキャッシュニーズに対応するCM9シリーズ

また、AIニーズの高まりを踏まえ注目が集まるKVキャッシュニーズに対応するエンタープライズSSDのフラッグシップモデル「KIOXIA CM9シリーズ」も紹介している。

  • KVキャッシュのポジション

    KVキャッシュのポジション

CM9シリーズは、第8世代BiCS FLASHのTLCベースの製品で、前世代となるKIOXIA CM7 シリーズ比で、ランダムライトで約65%、ランダムリードで約55%、シーケンシャルライトで約95%の性能向上を実現しつつ、1Wあたりの性能向上も実現しており、シーケンシャルリードで約55%、シーケンシャルライトで約75%の効率改善を達成しているという。

  • CM9シリーズの外観とデモの様子
  • CM9シリーズの外観とデモの様子
  • CM9シリーズの外観とデモの様子。シーケンシャルリードは従来品(CM7シリーズ)と大きな差はないが、シーケンシャルライトは6750MB/s対10000MB/sとかなりの差が出ていることがわかる

エンタープライズの大容量ニーズに応える200TB超えのLC9シリーズ

CM9シリーズが高性能化方面の製品なのに対し、RAG(Retrieval Augmented Generation)をサポートするベクターデータベースの保存ニーズをはじめとする大容量ストレージニーズに対応する「KIOXIA LC9シリーズ」も展示している。

  • 「LC9シリーズ」

    200TB超の容量を提供する稀有なSSD「LC9シリーズ」

LC9シリーズは、第8世代BiCS FLASH QLCベースの製品で、2Tビット/ダイを32枚積層することで1パッケージあたり8TBを実現したフラッシュメモリを活用。これにより、2.5インチおよびE3.Lフォームファクターで最大容量245.76TB(E3.Sフォームファクターでは最大容量122.88TB)という200TBを超す容量を実現している。

  • ワイヤボンディングで32層積層

    ワイヤボンディングで32層の積層を実現している

  • ブースでは32層積層チップの実物を見ることもできる

    ブースでは32層積層チップの実物を見ることもできる。顕微鏡による積層部分の拡大画像も見ることができる

同シリーズは、「Best of Show Award」のサーバー & ストレージ部門で準グランプリを受賞している。

  • 第8世代BiCS FLASH

    第8世代BiCS FLASHのウェハも展示されている

光インタフェースに対応するSSDの実物デモも公開

このほか、同社ブースでは、同社初となる光インタフェースSSDの実機を用いたデモ展示も見ることができる。

  • 光インタフェースSSDの実機を用いたデモ

    光インタフェースSSDの実機を用いたデモ。下の光ファイバが接続されている部分が光ファイバコネクタ。そこから上に向かい、光ファイバが黒いヒートシンク下に収納されている部分が光電変換モジュール。ここまでが光による通信、後段が電気信号による通信。C9とはU.2コネクタで接続されている

今回の実機はプロトタイプの扱いだが、光電変換ブリッジボードとPCIe Gen5で接続したCM9シリーズの構成で、ホストのPCから光ファイバーで光スイッチを経由し、ブリッジボード端の光ファイバ接続用のコネクタまで光ファイバで接続、そこからボード上の光電変換モジュールまで光でデータのやり取りが行われ、そこで電気信号に変換されてSSDとやり取りされるものとなっている。光スイッチを交えたデモということで、次世代の高速・広帯域通信に向けた基本的な仕組みであり、要求性能に応えられることを示すものと言える。