この半導体ニュースのまとめ

・島津製作所が中国・天津の生産子会社で半導体業界向けターボ分子ポンプの生産を開始
・既設工場の遊休エリアにクリーンルームや検査設備を備えた新ラインを設置し、設備投資額は約3億円
・中国国内向け供給能力の強化を通じて、サプライチェーン最適化とコストダウンを図る

島津製作所は6月9日、中国の生産子会社である天津島津液圧(TSH)に半導体業界向けターボ分子ポンプ(TMP)の生産ラインを新設し、生産を開始したことを発表した。中国市場で拡大が見込まれる半導体製造装置やコーティング装置向け需要を取り込みつつ、中国国内の顧客向け供給能力を高めることで、サプライチェーンの最適化とコストダウンを進める狙いである。

  • 新たに中国の生産子会社に設置されたターボ分子ポンプ生産ラインの様子

    新たに中国の生産子会社に設置されたターボ分子ポンプ生産ラインの様子 (出所:島津製作所)

中国市場の拡大を見据え天津工場にTMP新ラインを設置

TMPは、装置内部にある多数の金属製ブレード(羽根)を毎分数万回という超高速で回転させ、気体分子を弾き飛ばすことで真空状態を作り出す機器。同社のTMPは、半導体製造装置やコーティング装置などに搭載されてきた実績を有している。

現在の中国は、半導体製造装置およびコーティング装置市場の成長が期待されているほか、製造業強化政策に伴う現地生産の需要が高まりを見せており、同社としてもそうした状況を踏まえる形で中国でのTMP生産を決定したという。

既設工場の遊休エリアを活用、約3億円を投じ年産2000台へ

生産を担うTSHは、既設工場の遊休エリアを活用し、クリーンルームや検査設備などを備えた生産ラインを新設した。設備投資額は約3億円で、当面は年間2000台の生産を計画している。

  • 中国で生産される予定のターボ分子ポンプの1種

    中国で生産される予定のターボ分子ポンプの1種 (出所:島津製作所)

既存拠点を活用して半導体業界向け製品の現地生産を進めることで、中国市場に対する供給対応力を高めるとともに、物流面も含めた事業運営の効率化を図る構えである。

現地生産で供給力強化、半導体製造装置市場への対応を加速

半導体製造装置向け部材やコンポーネントでは、需要地に近い場所での生産体制整備が、納期対応やコスト競争力の観点から重要性を増している。今回のTSHでのTMP生産開始は、単なる海外生産の拡大ではなく、中国市場に向けた供給体制の再構築という意味合いを持つと言える。

中国市場では、政策面の後押しも背景に半導体関連装置の需要拡大が続いており、周辺機器や真空関連機器についても現地での調達・生産ニーズが高まっている。島津製作所としては、TMPの現地生産を通じて、半導体製造装置分野での対応力を高めていくことで、今後の事業拡大につなげていく考えとみられる。