2026年から2028年にかけての300mm半導体工場への投資総額は約3740億ドル
SEMIは10月8日(米国時間)、最新の「300mm Fab Outlookレポート」における調査をもとに、300mmファブ装置(半導体前工程向け)の世界投資額が、2026年から2028年の3年間で総額3740億ドルに達するとの予測を発表した。
それによると、300mmファブ装置の2025年投資額は前年比7%増の1070億ドルと、調査開始以降で初めて1000億ドルを突破する見込みだという。その後も、ファブの地域分散化とデータセンターおよびエッジデバイス向けAIチップ需要の伸びに支えられる形で成長が続き、2026年には同9%増の1160億ドル、2027年に同4%増の1200億ドル、2028年には同15%増の1380億ドルと成長が続くことが予測されるという。
最大セグメントはロジック&マイクロ、最大地域は中国
セグメント別にみると、ロジック&マイクロは2026年から2028年にかけて1750億ドルが投資され、装置投資を先導する役割を担うという。特にファウンドリ各社が、2nm以下の最先端生産能力の確保に向けた投資がもっとも成長のけん引役になることが予測されるとしている。
メモリの3年間の投資額は1360億ドルと予測され、成長サイクルの新たな局面に入るとみられるとSEMIでは説明している。内訳としてはDRAM関連装置への投資が790億ドル、3D NANDへの投資は560億ドルと予測しており、AIの学習と推論の進展に伴って多様なメモリタイプに対して需要が高まるとみられ、この堅調な需要が、中長期的にメモリセグメントのサプライチェーン投資を支え、従来からのメモリサイクルによる景気後退リスクを緩和することにもつながることが期待されるともしている。
このほか、アナログ関連は3年間で410億ドル以上の投資が予測されるほか、化合物半導体を含めたパワー関連は3年間で270億ドルの投資が見込まれるとしている。
地域・国別で見た場合は、中国が政府の半導体国産化政策に支えられる形で3年間で940億ドルを投資し、300mm装置投資額で首位を維持することが予測されるという。また、韓国も生成AI需要に支えられ、3年間で860億ドルの投資額が予想されるとする。
3位は台湾で、3年間の投資額は750億ドル。2nm以下の先端プロセスを中心とした投資が行われ、先端ファウンドリでの生産能力および技術リーダーシップの維持が進むとみられるという。
4位は米州で、AIアプリケーション需要の急増に対応することを目的とした先端プロセスの生産能力の拡張を中心に、3年間で600億ドルの投資が行われる見込みだという。
5位以降は、日本が320億ドル、欧州・中東が140億ドル、東南アジアが120億ドルと予測されるが、SEMIではこれらの地域では、半導体供給の懸念を緩和する政策的インセンティブにより、2028年までに2024年比で装置投資が60%以上増加することが予測されるとしている。
なお、SEMIのプレジデント兼CEOのAjit Manocha(アジット・マノチャ)氏は、「半導体業界は、AIによって実現された技術への前例のない需要と、半導体自給率向上への新たな注力にけん引されて、大きな変革を迎えようとしている。戦略的なグローバル投資と協業が、強固で先進的なサプライチェーンの構築と、次世代半導体製造技術の迅速な展開を促進しており、300mmファブの世界的な拡大により、データセンター、エッジデバイス、そしてデジタル経済の進展が可能になる」と、半導体の生産能力が拡大していくことが、社会のデジタル化の下支えとなることを強調している。
