アドバンテストとNVIDIAが半導体テスト工程で協業
アドバンテストは10月6日、同社の米国地域統括会社であるAdvantest Americaが、半導体のテスト工程で得られるデータをリアルタイムに解析し、テストプロセスの最適化を行うAI技術を活用することで、半導体テストの進化を加速させる新たな取り組みを進めていることを明らかにした。
半導体製造において、テスト工程はすべてのデバイスが厳格な品質と性能基準を満たすことを保証する基盤となるが、従来はデータ収集や故障解析、テスト適用のサイクルに数週間を要するため、製品の短TAT(ターン・アラウンド・タイム)化に向けた期間短縮が求められてきた。
NVIDIAがBlackwellのテスト工程で実際に活用
今回の同社の取り組みは、同社の半導体テスト・データを安全に収集、解析、保管、モニタリングするソリューション・プラットフォーム「ACS(Advantest Cloud Solutions)リアルタイム・データ・インフラストラクチャ(ACS RTDI)」と、NVIDIAの先進的な機械学習(ML)を組み合わせることで、従来のテストワークフローから、柔軟に対応できるAI主導型のテストシステムへの転換を推進しようというもの。
NVIDIAのAI推論技術と統合されたACS RTDIは、半導体テストにリアルタイムの「知能」をもたらす可能性を備えているとアドバンテストでは説明する。すでにNVIDIAが、同社の最新世代である「Blackwell」ならびに次世代デバイスの量産にACS RTDIを採用しており、テスト工程における効率性の向上やコスト削減、歩留まりの改善が期待されるようになっているという。
具体的には、各テスト工程にまたがる膨大なデータをACSのData-Feed-Forward機能を介してリアルタイムに取り込み、GPUによる高速処理によりテスト中のチップ(DUT)ごとにテスト条件/項目を最適化することを可能にするという。また、GPUの活用により複数のMLモデルを同時に学習させながらも常時稼働が可能で、歩留まりの改善や最適化されたテストカバレッジ、そしてデータ処理の遅延・消費電力・コストの削減を実現するなど、生産ニーズの変化に応じて迅速に適応できる環境の提供が可能だともする。
なお、アドバンテストでは今後、ACSのデータ・アナリティクス・ソリューションにNVIDIAの「NVIDIA NeMo」および「NVIDIA NIM Microservices」を取り入れることを計画しているとのことで、それにより異なる種類の生産データを整理してAIモデルを評価、および生成AIアプリケーションをテスト環境内で直接実行可能なAIエージェントを展開することを可能とするとしている。