Applied Materials(AMAT)は10月7日(米国時間)、AIコンピューティングの性能向上を可能とする3種類の半導体製造装置を発表した。

先端ロジック/メモリチップ製造向けDie-to-Waferハイブリッドボンディング装置「Kinex」

1つ目は先端ロジック/メモリチップ製造向けDie-to-Waferハイブリッドボンディング装置「Kinex」。チップレットをはじめとする複数の機能を1つのパッケージに集積する手法が近年、活用されるようになってきたが、その中でもハイブリッドボンディングはCuとCuを直接接合できるため、性能、消費電力、コストの改善が期待されている。

同装置は、そうしたハイブリッドボンディングの導入を推進することを目的にBE Semiconductor Industries(Besi)と提携する形で開発されたもので、前工程のウェハとチップ加工におけるAMATの専門知識と、先進的なダイプレースメント、配線、アセンブリのソリューションで知られるBesiの高い接合精度とスピードが融合されており、ハイブリッドボンディング工程の重要工程すべてが1台に統合されているため、非統合型のアプローチに比べて利点が得られるとAMATでは説明している。また、すでに大手ロジックならびにメモリメーカー、OSATなどで活用されているという。

その主な特長としては、以下のようなものが挙げられている。

  • ダイレベルのトレーシング性能に優れ、複雑なマルチダイパッケージの管理が容易
  • 高精度の接合と管理されたクリーンな環境により、細密な配線ピッチを実現
  • ハイブリッドボンディング工程間の待ち時間を厳密に管理することで、接合の一貫性と品質を改善
  • 一体型のインライン計測により、高速なオーバーレイ計測とドリフト検出
  • 「Kinex」の外観

    「Kinex」の外観 (出所:AMAT)

2nm GAA以降で求められる性能を可能とするエピタキシャル成膜装置

2つ目は2nm以降のGAAトランジスタの高性能化を可能とするエピタキシャル成膜装置「Centura Xtera Epi」。GAAトランジスタにおける性能と信頼性は、トランジスタチャネルを形成するソース/ドレインの構造が要素の1つとされるが、その形成にはエピ工程を用いて、深いトレンチ内に材料を正確に成膜することが求められることとなる。

従来のエピ装置では、3DのGAAトランジスタに求められる高アスペクト比トレンチの充填が難しく、ボイドの発生や不均一なエピ成長によって性能と信頼性が低下するという課題があったという。

同装置は、独自の低容量チャンバアーキテクチャを採用し、プリクリーン工程とエッチング工程を統合してボイドフリーのGAAソース/ドレイン構造を実現するとともに、ガスの消費量を従来のエピ装置に比べて50%削減したという。また、革新的と同社が称する「成膜&エッチングプロセス」により、トレンチ側壁や底部に材料が成膜されるにつれてトレンチの開口寸法を連続的に調節し、ウェハ上の数十億個レベルのトランジスタのエピ成長をボイドフリーで最適化して、セル間の均一性を40%以上改善できるとする。

すでに大手ロジックならびにメモリメーカーにて採用済みだという。

  • 「Centura Xtera Epi」

    「Centura Xtera Epi」の外観 (出所:AMAT)

3Dチップの歩留まり改善を可能とする計測装置

3つ目は、3Dチップの歩留まり改善に向けた電子ビーム(Eビーム)を活用した計測装置「PROVision 10」。GAAトランジスタやバックサイド パワーデリバリー アーキテクチャを含む先端ロジック、次世代DRAMや3D NANDチップ向けに設計されたEビームメトロロジーシステムで、業界初となる冷陰極電界放出(CFE:Cold Field Emission)技術を採用し、従来の熱電界放出(TFE:Thermal Field Emission)技術に比べてナノスケールの解像度を最大50%高めたほか、描画速度を最大10倍に向上させたという。

これにより、サブナノメートルのイメージングが可能となり、3Dチップの複数レイヤを透過する統合的な多層イメージを可視化することができ、これにより従来の光学装置の限界を超えたダイレクトオンデバイスオーバーレイ計測が可能となるほか、高精度最小加工寸法(CD)計測も可能になるとしている。また、EUVレイヤのオーバーレイやナノシートの計測、GAAトランジスタのエピボイド検出といった重要なプロセス制御タスクもサポートし、2nm以降のデバイスやHBMインテグレーションに不可欠な装置となると同社では説明している。

同装置もすでに複数の大手ロジックならびにメモリメーカーにて採用済みだという。

  • 「PROVision 10」

    「PROVision 10」の外観 (出所:AMAT)