電子ビーム技術に基づく新しい半導体製造アプローチの情報共有と促進を目的としたフォーラム「eBeam Initiative」は、10月に米国カリフォルニア州モントレーで開催した「SPIE Photomask Technology+Extra Ultraviolet Lithography Symposium」にあわせて、フォトマスクとリソグラフィに関する年次調査結果の報告会を開催した。
今年の調査には、フォトマスク、電子設計自動化(EDA)、チップ設計、装置、材料、製造、研究など、半導体エコシステム全体にわたる49社の業界を代表する有識者84人が参加した。回答者の所属は、リソグラフィ関連装置メーカー33%、フォトマスクメーカー30%、EDA/IPベンダー12%、研究機関12%、デバイスメーカー6%、その他7%だった。同イニシアチブには日本から、アドバンテスト、キヤノン、大日本印刷、富士フイルム、富士通セミコンダクター、日立ハイテク、ホロンHOYA、日本電子(JEOL)、キオクシア、日本コントロールシステム、ニューフレアテクノロジーが加盟している。
2024年のフォトマスク業界はプラス成長の予想
「2024年のフォトマスク業界の売上高は前年比で増加すると思うか?」との問いには、回答者の74%が増加すると答え、26%が昨年並みと答えたほか、今後3年間の装置購入についても前向きに捉えていて、マルチビームマスクライター(回答者の93%)、マスク検査装置(85%)、レーザーマスクライター(48%)の増加を予測している。 また、「NA=0.55の高NA EUV露光装置が最初に半導体量産に使われるのはいつ頃か?」との問いには、回答者の43%が2027年、26%が2028年、23%が2026年と答えた。前年は44%が2026年と答えていたので時期が後退する見通しとなっている。
さらに、高NA EUV露光装置が2社以上で広く量産に使われる時期については、回答者の43%が2029年かそれ以降と答えている(2027年は25%、2028年は23%)。
このほか、2024年、ペリクルを用いない場合のNA=0.33のEUV露光には各レイヤあたり何枚のマスクを用意する必要があるか?とする問いには、回答者の62%が2〜3枚と答えているほか、「現在、ArFマスクの寿命に比べてEUVマスク(レチクルを使用しない場合)の寿命は?」との問いには、45%の回答者が4割未満の減少、30%が4〜6割減少と答えている。
加えて、「現在、ペリクルを採用することで、マスクの寿命はペリクルを用いない場合に比べて何倍延べると思いますか?」との問いには、回答者の56%が1~3倍程度、33%が3倍以上と答えている。
「量産用EUVマスクの検査にマスクショップでEUV光源を用いた検査が現在どの程度使われていますか? 3年後にはどうなると思いますか?」との問いには回答者の50%が0〜20%、23%が21〜40%の普及率を予測したほか、3年後については0%から100%までばらつく回答となった。
なお、「EUVを用いない半導体メーカーで、ArF液浸によるパターニングの実用的な技術ノードの限界は今日および7年後に何nmだと思いますか?」との問いには11~7nmとの回答が現在で43%、7年後で39%としているほか、7年以内に5nmに到達するとの回答は昨年の12%から19%へと増加している。