「CHIPS and Science Act of 2022(CHIPS法)」に基づく半導体関連企業への補助金支給の応募開始に先立ち、ジーナ・レモンド米商務長官が米ジョージタウン大学にてCHIPS法に関する講演を行った。

同氏は講演の中で、米国が経済と国家安全保障を保護しながら半導体産業のリーダーシップを強化するための長期的な目標実現にCHIPS法が重要な役割を果たすことを説明した。同氏の米国の半導体産業施策に関する重要な指摘事項は以下のとおり。

CHIPS法の申請が開始

  • ファブへの資金供与に向けた最初の申請を2月27日の週に開始。その後、段階的にサプライチェーン企業と研究開発投資のための資金調達機会を提供する。
  • 数年後に同プログラムは2つの観点で事後評価を受ける予定。1つは、今後数十年にわたって米国の技術的リーダーシップを保護し、信頼性高く回復力のある半導体産業を構築できたかどうか。もう1つは、税金に対する良き管理者であったかどうか。
  • この使命達成のためには、民間(企業や投資家)が政府と一緒になって投資する必要がある。CHIPS法による補助金制度は、あらゆる段階で民間投資を促進することを目的としており、CHIPS法による500億ドルの公共投資を元手に、民間から少なくとも5000億ドルを集める。
  • 半導体の市場や競争から米国が切り離されることなく、先端半導体を手掛けるすべての企業が重要な研究・開発をし、半導体の生産もする国になることを望む。
  • ものづくりだけに注力していては、成功は短命である。(総額527億ドルのうち)390億ドルで半導体製造を米国に呼び戻すことに加え、110億ドルで強力な半導体R&Dエコシステムを構築。これらをサポートするために必要なアイデアと人材を生み出す。
  • これらの投資の中心がNSTC(国立半導体技術センター)の創設となる。NSTCは官学民が一丸となり問題解決を行う野心的なパートナーシップとなる。重要なことは、次世代の半導体技術のすべてにおいて、米国が主導権を握ることを確実にすることである。
  • 米国半導体産業の繁栄は、新興企業がイノベーションを推進し競争できる場所(シリコンバレー)があったからである。しかし今日、この業界へのスタートアップの参入障壁は高い。NSTCは、そうした新規参入の障壁を引き下げることで、その傾向を逆転させようとしている。その目標は、2030年ごろまでに、新たな半導体の設計から商品化までの予測コストを半減することである。
  • パートナーや同盟国と協力して、多様かつ回復力のある持続可能なサプライチェーンを形成し、デジタルの未来に投資することを米国政府は熱望している。
  • 今後10年間で、米国の単科大学や総合大学に対し、半導体分野の卒業生数を3倍にするよう呼びかけている。大学は学生数の拡大を通じ、これまでそうした教育が十分に提供されていない人々の参加を促し、キャリア形成を支援する必要がある。
  • 大学は産業界と連携し、教育プログラムを業界ニーズに合わせ、卒業生が成功裏に必要な実践的なスキルを身につけられるようにする必要がある。
  • 製造業は、大学の学位を持たない労働者が高賃金の仕事とする最適な場所の1つでもある。この需要に応えるため、政府は半導体企業に対し、高校やコミュニティカレッジと協力して、教育やキャリア形成プログラムを通じて、今後10年間で10万人の新規技術者をトレーニングするよう呼びかけている。こうした行動がなければ、米国では2030年までに9万人の熟練技術者が不足すると推定される。