Lattice Semiconductorは5月31日に、新しいSecure FPGAである「MachXO5-NX」と、ORAN向けSolution Stackを発表した。最初に書いておくとこの2つは別々のもので、たまたま同日に発表されただけである。これに関する事前説明会がラティスセミコンダクタージャパンより行われたので、内容をご紹介したい。

MachXO5-NX

まずMachXO5-NXであるが、これはLattice Nexusシリーズの5番目にあたる(Photo01)。

  • Nexusシリーズはもう一つ用意されていることが明らかになっている

    Photo01:Nexusシリーズはもう一つ用意されていることが明らかになっている。そろそろ、Nexusシリーズの後継がどうなってゆくのかが気になる頃である

初代のCrossLink-NX(https://news.mynavi.jp/techplus/article/20191211-935672/)、第2弾のCertus-NX、第3弾のMach-NX、第4弾のCertus-NXに続く製品だが、Certus-NXからは1年弱空いた格好である。

さてそのMachXO5-NXであるが、MachXOの名前から判るようにSecureな制御システム向けのFPGAとなっている(Photo02)。

  • このスライドで言えば2020年末に発表されたMach-NXの後継

    Photo02:このスライドで言えば2020年末に発表されたMach-NXの後継であるが、こうなると何でMach-NXがMachXO4を名乗らなかったのかが逆に疑問になってくる

制御用MCUと言うのはPhoto03にあるように、様々な周辺回路などを制御する、いわばGlue Logic向けのFPGAという事になるが、そうしたGlue LogicであってもSecurityの機能が必須、とされる。

  • この3.3Vについては後でもう少し詳しく

    Photo03:この3.3Vについては後でもう少し詳しく

もう一つは周辺回路は引き続き3.3Vが必要で、ところが先端SoCはすでに3.3Vを廃止している事が珍しくないという状況に対してのSolutionが必要という話である。そんな訳でMachXO5-NXでは、Secure機能を持ちつつも基本的には汎用FPGAという扱いで、特にLogic CellをMach-NX(11K)から倍以上に増やすなどフレキシビリティを高めた構成となっている(Photo04)。

  • その代わりRISC-VのHard IPは持たない

    Photo04:その代わりRISC-VのHard IPは持たない(Soft IPでは利用可能)

  • セキュリティ周りは確かにLatticeの御家芸ではある

    Photo05:まぁセキュリティ周りは確かにLatticeの御家芸ではある

面白いのは競合との比較である。Intel MAX 10/Cyclone 10LPとAMD Spartan 7と比較して様々な点で有利であるとするのだが、ここでの「堅牢な3.3V I/O」とは何か? 実はこの表に挙がっている4つの製品は全て3.3V I/Oを持っている。というか流石にこのクラスのFPGAで3.3V I/Oが無いのはまずいと思うのだが、Latticeによればそうではなく

  • Early I/O(数msで利用可能になる)
  • Hot Socket(Hot Plug/Unplugに対応)
  • Pull option(Pull up/downがProgrammable)
  • Programmable Through Rate

の4つの機能をもって「堅牢なI/O」と言うのだそうで、この4つを全て搭載した競合製品は存在しない、という意味だそうだ。また競合製品と比較してフレキシビリティに富んでおり(Photo06)、消費電力やSERを低く抑えられる(Photo07)点もメリットとしている。

  • User Flashの容量をMax 10と比較するのはちょっと可哀想な気も

    Photo06:SRAMはともかくUser Flashの容量をMax 10と比較するのはちょっと可哀想な気も

  • ここはFD-SOIを利用している事のメリットがそのまま出て来ている格好だ

    Photo07:ここはFD-SOIを利用している事のメリットがそのまま出て来ている格好だ

このMachXO5-NXは特定顧客へのサンプル出荷は既に開始中で、開発ツールやIPも提供中、評価ボードは6月に提供開始予定とされている。