Lattice Semiconductorはオンラインイベントの形で同社の新製品「CertusPro-NX」を発表した。このオンラインイベントのリプレイはこちら(要登録)から確認できるが、その概略をご紹介したい(Photo01)。
さて、Latticeは2019年末に28nm FD-SOIを利用した「Nexus Platform」と、その第一弾製品となる「CrossLink-NX」を発表、これに続いて2020年6月には「Certus-NX」を、そして2020年12月には「Mach-NX」と半年に1回のペースでNexus Platform製品を投入し続けており、今回のCertusPro-NXは第4弾となる形だ(Photo02)。
さてその第4弾となるCertusPro-NXだが、こちらは汎用FPGAの位置づけである。言わばCertus-NXの上位製品に当たる格好だ(Photo03)。
ただ以前のCertus-NXが汎用とは言いつつ、外部高速LinkはPCIeのみで、速度も5Gbpsどまりだったのが、今回は10Gbpsに増強され、10GbEやPCIe、DP/eDP、SLVS-EC、CoaXPress(CXP)などさまざまなプロトコルに対応し、またProgrammable I/OはLPDDR4にも対応するなど、外部I/Fの強化も目立つところである。
この外部I/Fの帯域を競合製品と比較したのがこちら(Photo04)。100K LUTクラスのFPGAとしては強力な外部I/Fを搭載している、というのが第1のアドバンテージであるとする。
2つ目の特徴は低消費電力である。もともとNexusシリーズはすべてSamsungの28nm FD-SOIで製造されており、それもあって消費電力はかなり低く抑えられているが、これはSerDesにおいても同じことであり、5G/10Gのトランシーバを利用した場合のシステム全体の消費電力も低い、というのが同社の主張だ(Photo05)。
実際イベントでは動作デモが行われ、消費電力が低い事のアピールが行われた(Photo06~08)。
3つ目は性能。FPGAセルの性能そのものの比較は当然難しいが、例えばAIのInferenceであれば、どの程度のメモリが搭載されているか、が1つの性能の目安になりやすい。CertusPro-NXは最大7.3Mbit分のEmbedded Memory Blockを搭載しており、必要ならさらに外部にLPDDR4経由で増設もできる(Photo09)。
イベントでは実際に顔認識デモが実施され、スムーズにSegmentationとIdentificationが行えることを示した(Photo10,11)。
4つ目が信頼性である。そもそもNexusファミリーはFD-SOIを利用する関係で放射線に起因するSERが低い(Photo12)訳だが、その強みをフルに生かしたデモがこちら(Photo13,14)。
広範にFPGAが利用される中で、信頼性が要求されるニーズも増えつつあり、CertusPro-NXではこうしたニーズにも十分応えられる、という説明であった。
またパッケージの小ささも相変わらずである(Photo15)。
CertusPro-NXは、Ball pitch 1mmのBGF484(23mm×23mm)、LFG672(27mm×27mm)、Ball pitch 0.8mmのCBG256(14mm×14mm)、BBG484(19mm×19mm)、Ball pitch 0.5mmのASG256(9mm×9mm)の5つのパッケージが用意されるが、このASG256だとSFP+あたりのモジュールに内蔵させることも可能であり、旧来のECP5ファミリで開拓したネットワークモジュール向けに使う事も可能である。
最後がソフトウェア周りの話。先般、Lattice Automateが発表されるなどSolution Stackの拡充に余念のない同社ではあるが、それとは別に(恐らくCertusPro-NXのサポートも含めて)Lattice Radiant 3.0も同日発表された。
CertusPro-NXは、52K Logic Cellの「LFCPNX-50」と96K Logic Cellの「LFCPNX-100」が第一弾としてラインナップされている。量産出荷開始時期や評価キットの出荷時期などは現時点では不明であるが、そのあたりは追って説明があると思われる。