Lattice Semiconductorは、同社が提供してきたイメージング向け「mVision」、およびセキュリティ向け「Sentry」という2つのソリューションスタックについて、3月1日付でVersion 2.0を発表した(発表資料1発表資料2)。これに関して3月4日にオンラインの形で説明会が行われたので、この内容をご紹介したい。

mVision 2.0

mVisionは元々2020年2月に発表されたマシンビジョン向けのスタックであり、同社のFPGAにカメラモジュールを組み合わせ、ターゲットに合わせたフォーマットや信号レベルを生成する、いわばビデオブリッジ的な機能を提供するソリューションであるが、Version 2.0ではよりユースケースを意識した構成になった(Photo01)。

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    Photo01:初代のmVisionはもう少し機器寄りというか、マーケットやユースケースはあまり考えない汎用的な位置づけであったが、これを一歩進めた格好

具体的には

  • 新たにソニーやON Semiconductorのカメラモジュールも標準でサポート(Photo02)
  • Bridging/Aggregation、およびISPのIPを新たに追加(Photo03)
  • 開発環境としてLattice Propelが追加され、またRISC-Vコアもサポートされる(Photo04)

といった拡張がなされることになった。

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    Photo02:別にこれ以外のカメラモジュールは非対応という意味ではない

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    Photo03:従来ISPの機能はまったく無かった

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    Photo04:APBの下の黄色い画像処理ブロックやISPに関してはFPGA向けのハードウェアIPが提供され、これらをRISC-Vで制御する形になる。「ISPコンフィグレーション向けCコード」とは、ISP用のIPがCコードの形で提供され、これをPropelに掛けるとFPGA用IPになるという意味

ソリューションスタック全体の構成はこんな感じになっている(Photo05)。

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    Photo05:もちろんPropelでなく、Lattice Diamondを使って直接RTLで記述することも可能であるが、PropelやRISC-Vを使う事で、FPGAの知識のないソフトウェアエンジニアでもmVision 2.0を使えるようになった、とする

また新たにリファレンスデザイン/デモも拡充され(Photo06)、新たにSoftnautics/logic fruit Technologiesが設計パートナーとして追加された(Photo07)事も明らかにされた。

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    Photo06:むしろ以前が少なすぎたというべきか……

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    Photo07:追加の2社はどちらもインド企業。日本だと、Lattice Design Groupに頼むのが一番早いかもしれない

Sentry 2.0

Sentryは2020年8月に発表されたセキュリティスタックである。

元々は2019年5月に発表されたMach XO3D向けのスタックという格好であったが、2020年12月にMach-NXも追加され、両方のFPGAで利用可能になっていた。

そのSentryであるが、2.0となってもスタックの構造そのものは変わらない(Photo08)。

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    Photo08:ちなみにMach XO3DであってもSentry 2.0になるとの事。スタック全体のVersionが2.0に上がった、という話であった

では何が変わったか? というと、暗号強度と処理速度、扱えるデバイスの数である(Photo09)。

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    Photo09:この数字はMach-NXを利用した場合のものである

もう少し細かな違いを並べたのがこちら(Photo10)。

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    Photo10:なので、Mach XO3DだとSentry 2.0を使っても、機能や性能、対応バス数などはSentry 1.0相当になる

もともとのSentry 1.0はMach XO3Dのハードウェアスペックに合わせたものになっており、これをMach-NXに合わせたのがSentry 2.0という形だ。これでやっとMach-NXもそのハードウェアの機能をフルに利用できる様になった、という訳である。