香港の英字日刊紙「South China Morning Post」(電子版)が10月1日付けで、上海郊外の蘇州工業団地に本拠を置く、半導体産業向け高純度フォトレジストおよび薬品メーカーSuzhou Crystal Clear Chemical(SCCC)が韓国SK HynixからASML製の露光装置の中古品を購入するために1102万ドルを支払ったと報じている。

SCCCは、「高度な半導体製造用のハイエンドフォトレジスト材料の開発を加速するプロジェクトの一環として、韓国から中古リソグラフィシステムを購入した」と述べているが、モデル名や性能などについては明かしていないという。同社は上海証券取引所へ提出した書類で「複雑な地政学的環境の中で中国の外国供給への依存を減らすことを目的としたフォトレジスト材料プロジェクトに資金を提供するために、5億5000万元の転換社債を調達する」と正式に報告している。

同社によると、中国では現在、8インチシリコンウェハ用のKrFフォトレジストの需要の5%しか国内製造されておらず、12インチウェハ製造用のより高度なArFフォトレジストに至ってはすべて輸入に依存しているという。このことから、同社はArFフォトレジストを自主開発するために中古のASML露光装置を購入したのではないかとみられる。

また、同社の最重要顧客はSMICだという。SMICへの米国製半導体製造装置の輸出に際しては米国政府当局の承認が必要になった(事実上の輸出禁止になった)と欧米のメディアが最近になって伝えているが、いまだに米国商務省は公式発表をしていない。ASMLはオランダ籍企業であるので今回の米国の制裁措置の範囲外とみられる。

なお、SMICはすでにEUVリソグラフィ装置の新品をASMLに発注しており、2019年中には納入される予定であった。しかし、米国政府がオランダ政府に輸出許可を出さないように要請した結果、納入のめどが立たない状況となった模様だ。ただし、それ以外のASMLのArF/KrFリソグラフィ装置の中国企業への輸出は米国の介入なく行われているという。