私たちの周囲のあらゆるシステムがますますインテリジェント化する中で、常時電源が入っている機器が標準になっています。電源ケーブルやシステムのバッテリの取り外しなどによって、これらの回路から電源が切断または除去されると停電が発生することになります。停電が発生すると、重要なデータが失われる可能性があり、システムは重要なデータをバックアップしようと最後の1マイクロ秒まで努力します(図1)。

  • スーパーキャパシタ

    図1.必死でデータを保存しようとする最後の努力(イメージ)

ここでさっそうと登場するスーパーヒーローが、SuperCapまたはスーパーキャパシタと呼ばれるデバイスです。スーパーキャパシタは保険証券のようなもので、短時間の一時的なバックアップ電流源を提供することによってクラッシュ状態を遅らせます。これは心強く感じられますが、その特性の中には、パワーコンバータの助けがないとスムーズな復旧を阻害するものがあります。

本稿では、このデザインソリューションの構築を構築を考えてみたいと思います。最初にスーパーキャパシタの機能について簡単に説明します。次に、電源バックアップソリューションでの現実の充放電ソリューションとしての使用方法を示します。スーパーキャパシタを例として使いますが、大容量のタンタルコンデンサバンクを使用することも可能です。単に、スーパーキャパシタの方が同じ実装面積でより多くの容量を提供するということです。なぜリチウムイオン(Li+)バッテリを使わないのか不思議に思う人もいるでしょう。リチウムイオンバッテリは優れた充電式バックアップ電源の役割を果たしますが、重量が重く、充電に時間がかかり、寿命が限られ、充放電に特別な回路やアルゴリズムが必要なため短時間の電源バックアップとしては高コストです。

スーパーキャパシタの特性

スーパーキャパシタは大容量コンデンサで、より低い定格電圧制限で提供され、非常に大きい容量値に対応します。その他の特長として、高エネルギー密度、低DC等価直列抵抗(DC-ESR)、および電圧と電流に関するリニアな充電/放電があります。では、スーパーキャパシタ、標準的なコンデンサ、およびバッテリを少し詳しく比較してみましょう。

スーパーキャパシタの容量は標準的なコンデンサの数百倍です。この高い容量値によって、大量のエネルギーストレージを容易に実現可能です。

エネルギーストレージとは、デバイス(コンデンサまたはバッテリ)が保持可能なエネルギーの量です。エネルギーストレージ密度は、通常はグラム当りのミリワット時(mWh/g)で表されます。手頃なスーパーキャパシタのエネルギーストレージ密度で、複数のアプリケーションで短時間の電源として使用することができます。電気二重層コンデンサ(EDLC)またはスーパーキャパシタのエネルギーストレージは、標準的なコンデンサ(タンタル、セラミック、アルミ、フィルム、シリコン、電解など)とバッテリの中間です。

コンデンサまたはバッテリの等価直列抵抗(ESR)の測定は、DC付近またはそれより高い周波数(100kHzなど)で行われます。一般に、公称のコンデンサのESR値は高い側のテスト周波数が使用されています。充電流または放電電流は通常はDC付近で発生するため、ほとんどのスーパーキャパシタまたはバッテリアプリケーションではDC近傍のESRの値が重要です。ESRによって、スーパーキャパシタの充放電電流で低電圧誤差が発生します。

バッテリとスーパーキャパシタは、どちらも電気エネルギーを蓄積します。広く使用されているバッテリは、より高いエネルギー密度を備えています。しかし、高電力密度のスーパーキャパシタは迅速な充放電が可能です。

  • スーパーキャパシタ

    表1. スーパーキャパシタ、タンタルコンデンサ、およびバッテリの比較

スーパーキャパシタは、標準的なコンデンサとバッテリの隙間を埋めるのに適切な働きをします。これらの特性を備えたスーパーキャパシタは、大容量と中程度のエネルギー密度によって一時的バックアップ源の優れた候補となります。