――そして、問題のプロモーションビデオですが、発案は誰だったのですか?

atsuko「発案は、プロモーションビデオの監督さんです。実は今回、3人の監督さんに2つずつぐらいの企画を持ち寄っていただいて、その中から選ぶという形だったのですが、ほかの2人の監督さんはとてもカッコいい感じで、『THE LIGHTS OF HEROES』の音が流れたら砂の仮面が流れて……みたいな、本当に想像するだけでカッコいいだろうなっていう企画書をいただいていたんですよ」

KATSU「コレいいじゃない、コレもいいじゃない、みたいな感じで」

atsuko「そんな中で、最後に見せられた企画書が問題の『ランジェリー・フットボール』ですよ……絶対にこの人はふざけているなと」

KATSU「最初は目が点になって、口はパカーン(笑)」

atsuko「たぶんこの映像を観たangelaのファンの方は、私たちが初めて企画書を見たときと同じリアクションになったと思います」

KATSU「なので、『この人は絶対にない』というところからスタートしています。ちょっとふざけているのかなって(笑)」

atsuko「さらに、その監督さんが出してくださったもうひとつの企画書は、ただひたすらに殉職シーンですよ。死んでいくシーンを延々とダイジェストで流していくという」

KATSU「この人の頭の中は一体どうなっているんだろうって(笑)」

atsuko「『殉職こそがヒーローだ』って。それはまあそうなんですけど……」

KATSU「その監督さんにとってのヒーロー像は"殉職シーン"なんですよ。『そこにヒーローの姿がある』って、けっこう熱く書いてある。たしかにカッコいいんですけど、angelaがこれまでずっとやってきたテーマは、"死ぬ"ではなく"生きる"なので、"殉職シーン"というのは、いくらカッコよくてもダメ。じゃあ、この『ランジェリー・フットボール』って何だ? やはりみんなここに食いつくわけですよ」

――すごく気になりますよね

KATSU「企画書を読んでいくと、まず『人の印象に残るのはギャップ』というところからはじまり、『スポーツほど真剣で、ストーリーがなくても感動に導けるものはない』『究極のエンタテインメントであり、スポーツにこそヒーローの姿がある』というようなことが書いてある。そして、アメリカには『ランジェリー・フットボール』リーグというものができていて、ちゃんとその写真もつけられている。その写真がけっこうカッコいいんですよ。もうその時点で、"砂の仮面"の話なんて忘れちゃっている。こんなふざけた企画なんてありえないとは思いつつも、けっこうカッコいいし、思ったほどいやらしくもない。徐々に惹かれていくわけですよ、一度この監督さんに会ってみたいなと(笑)。とはいえ、その時点では、絶対に『THE LIGHTS OF HEROES』のPVで『ランジェリー・フットボール』というのはないと思っていました。もしこれをやってしまうと、『ヒーローズファンタジア』の中のほかの作品のファンの方から、『何をふざけているんだ』って言われてしまうかもしれないじゃないですか」

atsuko「たぶん、angelaのファンの方々も普通に驚くと思うんですよ」

KATSU「でも、こんな企画を提出できるのは、すごいバカか、すごい天才のどちらかじゃないかと(笑)。それで、その監督さんの作品をいくつか観ていくうちに、実はこの監督さんは曲を大事にしてくれて、曲の力を映像によって引き出すことができる天才で、映像によって強く印象づけるところに特化した方なんだなという結論に達したんですよ。そうなると、逆にこの先、angelaが関わるであろうアニメの主題歌をこの監督さんにやってもらうことはできないだろう、と。逆に、今回のようにテーマが定まっていながらも、広いものであれば、もしかしたら……」

――逆にアリだと

KATSU「それで、もしゲーム側のスタッフさんがOKならばやってみたいというぐらい、自分たちの中での印象が強くなりすぎてしまって(笑)。やはり、スポーツだと"ヒーローインタビュー"っていうじゃないですか。男の子だったら、たいていスポーツ選手に憧れる。やはりヒーローといえばスポーツだろうということで、話が一気に進んだ感じです」

――まさかの展開ですね

KATSU「実際、スポーツである『ランジェリー・フットボール』を通して、ヒーロー像が描けるかは、監督さんの力量になるわけですが、この監督さんに任せておけばカッコいいものができると信じていました」

atsuko「今回のプロモーションビデオで唯一残念だったのは、『ランジェリー・フットボール』のシーンの撮影に、私たちが立ち会えなかったことですね(笑)。angelaもほんの少しだけ映像に登場するのですが、撮影日が別で、『ランジェリー・フットボール』の撮影日にはほかの仕事が入っていて……」

――それは残念ですね

atsuko「だから、どんなものを撮ったのかもわからず、ほぼ出来上がった状態になって、初めて目を通したのですが、撮影に行けなかったのがすごく悔しくなりました(笑)」

(次ページへ続く)