11月26日の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)は「今年最も盛り上がった」と言っていいかもしれない。

その理由は「電気イスゲーム」の対戦中に突然「名探偵津田 第4話」がスタートしたから。さらに年内の残り放送は12月3日が「第3話 未公開長袖SP」、17日が「第4話 前編90分SP」、24日が「第4話 後編90分SP」とすべて「名探偵津田」であることが明かされたこともあって、歓喜の声だけでなく、さっそく考察合戦がはじまっている。

『水ダウ』と言えば「TVerアワード バラエティ大賞」を4年連続受賞するなど“バラエティ最強”と言われ、ヒット企画も多い中、なぜ「名探偵津田」は別格なのか。

あらためて、どんなところが支持され、今後どんなところが期待されるのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • ダイアンの津田篤宏

    ダイアンの津田篤宏

「人間くさい姿を見て楽しむ」で思い出すあの番組

「名探偵津田」のスタートは2023年1月25日放送の「犯人を見つけるまでミステリードラマの世界から抜け出せないドッキリ、めちゃしんどい説」だった。

その後、同年11月8日・15日に第2話「呪いの手鞠唄と招かれざる男」、24年12月11日・18日に第3話「怪盗vs名探偵~狙われた白鳥の歌」が放送。回を追うごとに反響を広げ、TVerでの配信再生数はバラエティ歴代最高記録を更新するなど快進撃を続けている(現在TVerで過去回を配信中)。

企画のベースはドッキリだけに「いかにダイアン・津田篤宏をだまし、イライラさせるか」「いかに視聴者を笑わせる仕掛けを用意するか」が重要となる。

その点、やりたくもない探偵にされてしまう。事件解決するまでミステリーの世界から抜け出せず長時間拘束される。どこに行くのか、誰と会うのかすらわからず、なかなか糸口が見つからない。イラ立ちを誘ったり、体力を使わせたりなどのシーンが多く、推理に集中しづらいなど、制作サイドの仕掛けは徹底されている。

なかでも津田を混乱させ、視聴者を笑わせているのが、ミステリーと現実の世界を混同させる仕掛け。第3話では、津田がミステリーを“1の世界”、現実を“2の世界”と区別しようと試みるもうまくいかず、困り果てる姿で笑いを誘っていた。そんな良い意味で悪意満載の仕掛けは『水ダウ』の真骨頂であり、芸人イジリを11年超にわたって続けてきただけに精度は高い。

もちろんドッキリを受け、ミステリーに挑まされる津田のキャラクターも人気のポイント。子どものように地団駄を踏み、流行語にもなった「長袖をください」と駄々をこねる。スタッフや出演者に悪態をつく一方、美女が登場すると鼻の下を伸ばす。嫌々やりながらも推理の調子がよくなると急にのめり込み、ドヤ顔を連発する……そんな津田の人間くさい姿を観察する楽しさがある。

その「人間くさい姿を見て楽しむ」という意味で思い起こされるのが、『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(日本テレビ系)の人気企画「人間性クイズ」。ドッキリのターゲットが小物ぶりを見せるほど笑いを誘うという図式は似たところがあり、約30年の時を経て令和にアップデートされたようにも見える。