前回は営業職から異職種への転職を考える際に、どのようなステップを踏んで行けばよいかを中心にお伝えしました。今回は、自分の営業経験を転職活動にどのように生かすことができるかの分析方法をお伝えします。

  • 自分の市場価値を正しく把握していますか?

職種の境界線が溶け、営業と関連性のある職種につけるように

まず、自分が「営業職」として、どのような要素を持っているかを認識することが重要です。営業の要素は5つの視点において、大きく2つに分類できます。それぞれどのような点を強みやスキルとして転職時にアピールできるかをまとめました。

新規営業と既存営業

新規営業は、会社の資産を創っていく、とても尊いものです。臆することなく開拓していく突破力をアピールしやすいと思います。

一方で、既存営業は担当する顧客への継続的な提案が必要です。また、先輩たちが構築してきた信頼関係を自分で崩しかねない怖さもあるため、粘り強さや継続的な努力ができるという点を伝えることができます。

BtoBとBtoC

BtoBは法人対法人の関係性であるため、「企画を提案していく」もしくは「何度も通って信頼関係を構築する」営業スタイルになります。営業としての思考力に差が出やすいため、どのように顧客との関係性を構築できたかを伝えると良いでしょう。

BtoCはエンドユーザーからの口コミが肝であり、ファンの創出が大切です。顧客からダイレクトに届く定性的な声や、その商品の導入が人々の生活にどのように影響を及ぼしたかを伝えると良いでしょう。

低単価と高単価

低単価の商品はいかにマーケットシェアを拡大していけるかがポイントです。単価が安い分、簡単に他社へ切り替えられてしまいます。社内のマーケティング部やと商品企画部との連携が肝であるため、社内連携の調整力や情報収集力を伝えやすいと思います。

一方で、高単価商品での実績は数値や影響力が相手に伝わりやすいため、実績がある場合はかなりの強みになります。

高単価の場合、相手が簡単に買うことがないため、顧客以上に顧客のことを知り、長い時間をかけて関係性を構築し、相手のニーズを捉えて期待値を越える提案をしていく営業力が必要です。

その提案の中身やストーリーを面接で聞くことで、その人の営業力を測ることが出来ます。また、扱う金額が大きいため、その金額が会社内でどの程度のインパクトになっていたか、つまり会社の中での重要度が分かります。

有形と無形

有形商品の場合は、自分が売っている商品を、いかに愛せるか、信じることができるか、ということがとにかく大事です。売るための商品研究のエピソードがあると良いでしょう。

例えば、自分が車のディーラーの営業だとします。その会社の車について理解することや他社との違いを把握しておくことはもちろん大事ですが、最後にお客様の心を動かすのは、お客様への想いと同時に、そのメーカーへの愛だとすら思います。このように愛社精神とともに作ってきた実績は、転職活動でアピールできるポイントだと思います。

無形商品は営業としていかにお客様のニーズや課題を引き出して、どう提案して解決したかを伝えることができます。目に見えない商品であるため、目の前の営業を信じてもらわないと買ってもらえないとも言えます。

コンサルティングとマーケティング

近年、職種の境界線が曖昧になり、多くの営業にはコンサルティングかマーケティングの要素が含まれてきています。エンタープライズ(大手企業担当)はコンサルティング要素、SMB(中小企業担当)はマーケティング要素があると考えています。

そのため、営業から、コンサルティングやマーケティングの分野に行くのは可能です。しかし、異業種×異職種に行きたいのであればステップを踏むことをお勧めします。詳しくは前回の記事をご参照ください。

上記のように、まずは自分が行っている「営業」にどんな要素があるのかを分析し、言語化することが大切です。

今、「あなたは営業としてどんなスキルがありますか?」と問われたら、瞬時に答えることができますか。「営業やってました!」と明るく元気に言うだけでは、見向きもしてもらえない時代です。

営業としての実績を定量・定性の両方の面で認識をし、そこから自分のスキルや強みをアピールしていくと、相手への説得力が増し、自分がチャレンジしたい分野でも活躍できるイメージを持ってもらうことができます。

どんな職種も営業につながる

営業と広報を経験して私が思うことは、全ての職種は営業的な要素につながっているということです。仕事とは「相手のニーズを引き出して、自分が持っているスキルをどう活用し、解決していくのか」という提案だと思っているからです。

自分にはどんな価値があるのかを言語化していくことで、市場価値を把握することができます。そこからどんなキャリアを描きたいか考えていきましょう。このノウハウが皆様のキャリア形成のヒントとなればと思います。