テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。

今回は、インドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が「コネクター」という仕事について語ります。

  • コネクターがビジネス機会を創出する"つながり経済"とは


「コネクター」と「つながり経済」とは

「コネクター」という仕事をご存知でしょうか? 別稿「出会いを縁に変え、深める - 人材派遣会社社長が語る人脈作りの秘訣」で聞き手として登場するIT企業・Sansanの日比谷尚武氏や、本リレー連載にも寄稿しているビジネスプロデューサー・書評ブロガーの徳本昌大氏もコネクターの一人です。

コネクターという仕事の定義はまだなされていませんが、「人と人、人と企業、企業と企業をつなげ、シナジーのあるビジネスを創出する」と表現できるかもしれません。新しい働き方の一つとも言えますね。

経営資源は、よく「ヒト・モノ・カネ」と言われますが、モノ・製品・サービスをつくるのも提供するのも人ですし、人を育てるのも人です。売上を生み出すのも人ですし、自動的に売上が上がる仕組みをつくるのも人。投資家や銀行・金融機関から資金調達するのも人です。資金調達するための資料をつくるのも人ですし、投資家や銀行・金融機関を紹介してくれるのも人です。

さらに言えば、運を運んでくれるのも人ですし、人がAIに取って代わっても、AIを開発するのも今はまだ人ですよね。極論を言えば、ビジネスが成功するかどうかは、すべては人との出会いと言えるかもしれません。

コネクターは、人と人をつなげる仕事です。人的なつながりのなかで仕事をしたり、仕事を紹介し合ったりすることを「つながり経済」とも呼ばれています。コネクターは、ある意味でつながり経済圏のハブ的な存在ですね。

どんなときにやりがいを感じる?

私も一時期、あるいは今現在もかもしれませんが、友人の経営者や投資家に人をたくさん紹介していたときがありました。誠実で成長性が高いと感じた経営者の方には、どんどん人を紹介したくなるものです。

お金を投資することだけが投資ではなく、人を紹介することも投資ですし、経験やアイディア、ノウハウを提供することも投資、また労力や時間を提供することも投資だと私は考えています。ですので、私が人を紹介するのは投資と一緒です。

お金を投資して失敗してもお金を失うだけで済みますが、人を紹介するということは自分自身の信頼関係を提供しているということです。信頼関係を失うことは、お金を失うことよりもはるかに悪い影響があることですので、どうしても慎重になります。

コネクターという仕事は、ある意味では極めてハイリスクです。そのため、人を紹介してビジネスがうまくいき、両者から感謝されることは、この上ない充実感が得られます。その瞬間が、コネクターにとってのやりがいでしょうね。

コネクター・髙野一朗さんの生き方

  • コネクター・オポチュニティークリエイター 髙野一朗さん

原宿にあるランドマーク・WeWork Icebergのオープン時から入居しており、今なおそこを拠点に活躍するコネクターの髙野一朗さんという友人がいます。

髙野さんは、ご友人から「オポチュニティークリエイター」とも名付けられており、言い換えればまさにコネクター。原宿で日々人と人をつなげていらっしゃいます。

アパレル業界出身の髙野さんですが、アパレル業界以外の人脈も豊富で、私もビジネスプロデューサー・書評ブロガーの徳本さんのご紹介で髙野さんと知り合いました。

「WeWorkでこんなイベントをやりたいんだけど、髙野さんどう思いますか?」と聞けば、「WeWorkの担当の方をご紹介しますよ」と返信をくださいます。闇雲に人を紹介するのではなく、適材適所でちゃんと前さばきをしてくださるのが嬉しいところです。

人柄も極めて良い髙野さんですから、私も機会があればだれかをご紹介したいと思いますし、そんな人が髙野さんの周りには集まってくるのでしょうね。良い連鎖が生まれるので、髙野さんのつながり経済は今後もますます広がっていくと思います。そんな新しい生き方も、なんだかステキですよね。

次回以降も、実体験をベースに、起業や副業・複業、海外進出、テレワークなどをテーマに役立つ情報をご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solution(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。監修を担当した書籍『THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える』が発売中。