しめきり

異国エジプトで働いていた「おろぐちともこ」が、仕事を含む現地生活をマンガとコラムでご紹介。ピラミッドだけじゃない「エジプト」をお楽しみください。(毎週火曜更新予定)

【本当の締め切りは…】

仕事で調べて欲しいことがあり、エジプト人のスタッフに頼んだときのこと。その仕事は締め切り日までに取引先へ提出しなければならない重要なものだったため、スタッフには「○日締め切りで返信しなければいけないから、それまでに調べておいて」とお願いしました。

彼女はキリッとしたまなざしで「OK! 任せてちょうだい! 」と快諾。しっかりしてそうだし、任せておけば大丈夫だろう、と私は自分のやるべきことに専念することにしました。

数日後の締め切り当日。オフィスへ行って彼女に現状を聞きに行ったのですが、デスクに姿がありません。あれ? と思っていたら、他のスタッフが「ああ、彼女、体調不良で休むって連絡があったよ」と一言。

え――――! 調べ物、今日締め切りってお願いしてたのにっ!! とはいえ、体調不良なら仕方がありません。とりあえず、「明日出してもらうしかない」と思い、先方には「提出が遅れます」という謝罪のメールを送りました。

次の日、デスクには彼女の姿が。ホッと安心して、例の調べものの結果を尋ねてみると「調査のための質問をメールで問い合わせたんだけど、先方からまだ返信がないのよ」とあっけらかん…。

そう、エジプトは仕事がこうして予定通りにすぐ事が運ばないのも日常茶飯事。なので、返事が来てなくても、仕方がないといえば仕方がないのです。彼女が「私のせいじゃないわー」という態度をとっていても何ら不思議ではないのです。とはいえ、日本人だったらもうちょっと申し訳なさそうにするだろうな…と遠い目になったのも無理はないでしょう…。

しかしながら、ほうけていてもどうにもならないので、「すぐ問い合わせの回答をもらえるよう、電話してくれる?」と、笑顔でお願い。そう、彼女らをせめてはいけません…。どんなに腹立たしく思っていても、笑顔でお願いした方が仕事はスムーズに運ぶのです…(涙)。

どうにかこうにかして、そのときは乗り切ったわけですが、そんなことがあってからは、調べものを頼むときは期日を早めに伝えるという保険をかけるようになりました。本当の締め切り日の大分前に「お願いね!」と笑顔で依頼。「随分急ねえ」という顔をされても「ふふふ」と笑顔で乗り切っているのでした。

おろぐちともこ
大学時代古代エジプトを勉強していたためエジプトの地を踏むこと6回。7回目に踏み入れた2011年より数年間エジプトで働く。
現在はエジプト人による日本語雑誌を中心に、漫画を描いたりアシスタントをしたりと、国境を越えて活動中。至上の喜びは、素敵なカフェで水タバコの煙をゆらしながら、ぼけっとお茶をすること。生活記Blogつぶえじでは、現地の生活の様子を不定期に発信している。