オフィスの引っ越しと共に始まった「ワークスタイル変革」の自社実践。会議室の予約システムなどを導入することで、場所と時間を有効活用することが可能になった。

次に訪問したのは、メインとも言える「営業部門」の2フロア。自分の机がない状態で、社員はどのように働いているのか。窮屈に感じたりしていそうだが、現状はどのようになっているのかを拝見させていただいた。

7Fはハンター型営業オフィス

階段を満喫したところで一行は7Fへ。ここはどんな人が働いているフロアなのだろうか。

長谷川さん「アカウント営業という、スピード感が重要な仕事をしている人たちのオフィスです。例えるならハンター型ですね」

「ハンター型営業」という今どきのたとえをする長谷川さん。そんな、サバンナみたいなところに足を踏みいれて大丈夫なのか。うるさく撮影とかしていたら狩られるんじゃないか。

サバンナの地図、ではなく7Fのフロアマップ

一同の不安をよそにずんずんとオフィスへ入っていく長谷川さん。室内は壁の二面が窓になっており、サバンナのように明るく開けている。

木のデスクが印象的な明るいオフィス

それにしても異様にスッキリしている。

長谷川さん「先ほど説明したように、うちでは個人のデスクを持たない『アクティブコモンズ』制を導入しています。各自の書類などはボックスファイルに入れて、好きなところで仕事をします」

オフィスとは思えないほど机の上が片付いているのは、みんなで共有するデスクだからだ。

長谷川さん「ここには70人ほどの営業担当が所属しています。室内は、大きく3つのエリアにわかれていて、集中したいときは窓際、サッと仕事がしたいときは中央のデスク、話をしたいときはボックス席で仕事をします」

内田洋行の窓際は、「窓際族」のためではなく、集中したい人用。効率アップのためのデュアルモニターがセットされている

ファミレスっぽいボックス席。絶妙な距離感で話し合いも捗るそう

用途に応じて机を使い分けることで、仕事も進む。また、個人の机をなくすことで、オフィスで過ごす時間も減ったという。その結果、営業の主業務である「顧客との対面」に掛ける時間が27%増えたとのこと。

長谷川さんの話を聞きながらフロアをウロウロしていると、またもや壁にディスプレイが。

「ディスプレイが現れた!」

さっきのよりもちょっと大きい。よく見ると、「いいね! 数ランキングトップ20」の表示、まるでFacebookのようだが、これは一体?

長谷川さん「各自の企画書を社内SNSで共有しています。『これいいな』と思ったら、『いいね!』をクリック。『いいね!』の数が多い企画をランキングにして発表しています」

内田洋行では、以前に企画書の共有する仕組みを浸透させたものの、企画書を収めるだけのブラックボックス化していたそう。だが、「いいね!」ボタンを設置することで、企画書を見る人が増えたと長谷川さんは語る。

長谷川さん「今では自社ポータルに年間54万アクセスがあります。お互いの企画書を見ることで新しいアイディアも浮かびますし、いい企画書は評価されるので、作成した社員のモチベーションも上がっているようです」

社内SNSでも反応がもらえると、次も投稿しようという気持ちになる。仕事で使える情報共有とモチベーションアップを同時に実現するうまい仕組みだ。

フロアには、一服できるカフェスペースも。

本やお茶が用意されているので一服できそう

「でもちょっと座りにくそうな……」

せっかく一息つくためのスペースなのに、なぜ座りにくいイスをおいているのだろうか?

長谷川さん「ここでは軽いミーティングとかもするんですが、すわり心地が良すぎると、まったりしちゃいますから(笑)。メリハリをつけるために、あえてこのイスを選んでいます」

なるほど! 確かにすわり心地が良すぎると、居座ってしまう危険性が。仕事の効率を追求すると、イスも小さくなるようだ。会議時間の短縮も、ちょっとした工夫の積み重ねによって達成されたのかもしれない。

7Fを満喫したところで、一行は6Fへ。

上がハンター系なら下は…?

長谷川さんによると、6Fも営業のフロアとのことだが、7Fがアカウント系(ハンター系)営業ならば、6Fは…?

長谷川さん「6Fはパートナー系営業のフロアです。社員同士のチームワークが必要なフロアです。例えるなら『農耕型営業』ですかね」

パートナー系営業(農耕型)のフロア

こちらも開放感のあるオフィスだ

そうきたか。7Fは完全フリーアドレスだが、6Fは課内の連携が必要なため、課ごとにゾーンを設定している。このゾーンは1週間ごとにローテーションされるそう。

今週はここ! と割り当てが決まっている

中には2人用のデスクも。上司と向かい合って仕事するのはちょっとドキドキしそうだ。6Fには、7Fと同じように集中するとき用の窓際席や、「いいね! 数ランキングトップ20」が見られるディスプレイを設置。1人で集中したり、グループで仕事をしたり、他の人の企画書を見て、新しいアイディアを練ったりできる作りになっている。

「個人のデスクを捨てる」という選択

実際に2フロアを見学して、働いている人が窮屈そうだと感じることはなかった。ボックス席で会議をするグループ、窓際でデュアルモニターを駆使しながらバリバリ仕事をする人、上司と向き合って仕事をする人など本当に様々なスタイルで仕事しているのだ。

仕事のスタイルを自由に変えられる

個人のデスクを捨て、動きを共有することで生まれたスペースを有効活用することにした内田洋行。「アクティブコモンズ」は、言葉だけ聞くととても窮屈なように思えるが、そうではない。

個人のデスクがある場合、自分が自由に使っていいのはそのデスクの範囲だけ。だが、自分のデスクを捨てることで、フロア全てが自由に使えるスペースになる。その時やるべき仕事に合わせて、好きな場所を選べる贅沢な仕組みなのだ。

※第5回は7月18日(金)更新予定です。