4問目のお題は、ドラムロール大喜利で「『コイツ、毎回トーク盛ってるよな~』と思う芸能人第1位は?」。渋谷が「磯野貴理子」、神田が「杉村太蔵」、カレンが「東野幸治」、王林が「明石家さんま」と答えたあと、カレンが「水谷豊」でIPPON。

思わず大悟が「どこでトーク見てんねん」、川島が「ドラマをトークやと思ってる」、松本が「(ポイントを入れた)われわれもどうかしてる」と高速ツッコミを次々と入れたことを思えば、この回答が今回一番の盛り上がりだったかもしれない。王林:7本、渋谷:7本、神田:5本、カレン:7本。

最後のお題は、「かわいくないことをかわいく言ってください」。渋谷の「尿(ニャー)」で始まり、神田が0ポイントの回答をかぶせる大胆さを見せ、王林は神田や渋谷の回答に影響されて失速する中、カレンが「ゴッツゴツのエゾジカ」「サメ肌のイボ」「エッ!? 足裏ゴミだらけだね」「イカゲソ鬼炒め」とたたみかけて4本連取。最終結果は、王林:7本、渋谷:8本、神田:6本、カレン:11本だった。

ここで松本が「これで終わります? 頂上決戦見たくない?」と声をかけて、箕輪はるかVS滝沢カレンの決勝戦が急きょスタート。こういうサプライズこそテレビ番組の醍醐味であり、「2本立て」としか明かしていなかった制作サイドの姿勢に感心させられた。他の番組なら目先の視聴率ほしさに予告映像で明かしていたのではないか。

ともあれ、はるかは勝っても得るものの少ない勝負を受けたことになる。スタッフはかつて大喜利イベント『ダイナマイト関西』で活躍したときの姿を知ってのことだろうが、本人にとってはつらい戦いだったのではないか。しかし、視聴者サイドにしてみれば、極端な異種格闘技戦だからこそ、より高い熱を持って見られることも確かだ。

1問目のお題は、「このかるたの読み札を教えてください」でカレンが先取。2問目のお題は、「テンションが下がるものしりとり(ラリーお題)」で、爆笑ラリーの末にカレンが「ん」で終わり、はるかがタイに追いつく。

3問目のお題は、「結婚条件の3高、高収入・高身長・高学歴に次ぐ4つ目の高とは?」で、はるかが「高野山がバックについてる」、カレンが「高足早」、はるかが「高め合える」、はるかが「高速渋滞情報リアルタイムキャッチ」でIPPON。「芸人として負けられない」というプレッシャーに打ち勝って女王の座に輝いた。

この結末にすべての芸人たちはもちろん、視聴者もホッとしたのではないか。そんな安堵感も、ひとえに番組からガチンコムードを感じたからだろう。事実、はるかはYouTubeチャンネルで「1時間半前にスタジオ入り」「文字が書けないかというくらい緊張で手が震えていた」ことなどを明かしている。

そんなガチンコムードや安堵感は、松本人志と『IPPONグランプリ』への信頼感であり、特別感と言えるかもしれない。この日の放送を見ていたテレビマンたちは、あらためて「既存コンテンツと出演者の魅力をどのように引き出していくのか」を考えさせられたはずだ。

■「混合ダブルス」の可能性はあるか

あらためて番組全般を振り返ると“芸人編”も“タレント編”も、ワン・ツーの顔ぶれは順当だったように見えた。ただそれより印象的だったのは、「どの回答から出していくか」という順番や、場が荒れたときの対応など、大喜利の難しさが随所に表れていたこと。

たとえば、王林は順番を間違えて2本程度は損をしていた感があった上に最後は息切れし、渋谷は場が荒れたことで普段のような伸び伸びとした回答ができないときがあった。それでも王林は言葉選びのセンスを見せ、渋谷は誰よりも早く多く回答するなど、業界関係者の評価をますます高めたのではないか。

そして際立っていたのはカレンの不動心。場が荒れようとも、自分のペースを崩さず場を楽しんでいく姿勢はバラエティタレントのトップそのものだった……こう書いていくと、申し訳ないが、「見どころは“タレント編”ばかりに集中していて、“芸人編”は前座だったのかな」と感じさせられる。「イケメンタル」しかり、『まっちゃんねる』は実験的な要素の濃い企画のほうがハネるのだろう。

ともあれ、「通常の『IPPONグランプリ』がいかに高品質かを思い知る」という意味も含めて、有意義な放送だったのは間違いない。また、それを支えていたのは松本と審査員の3人だったことも確かだ。

松本は「面白すぎて押すの忘れてた」「こいつ向いてんな」「ちょっと今のテクニック使ったな」「何か攻略した感じがするね」、大悟は「言い方もあんねんな」「(0点に)これで楽になることもある」「言い方もうまい」、川島は「みんなで探してる感じ」「(これは)一発目やったね」「ハードル上がってきた」「喉が開いてきましたよね」、バカリズムは「ずっと惜しい」「球種が多い」などのフォローが大喜利の間ずっと飛び交っていた。

その1つ1つが的確なだけでなく、優しく温かく、もちろん笑いもたっぷり。最後に川島の「みんながホンマ面白かったんで『大喜利の男女の差はまったくないな』と思いましたから、これが成功したから男女混合ダブルスとか行けそうな……でも私は神田さん以外と組ましていただきます」というコメントをカットせずに放送したことから、実現の可能性もゼロではないだろう。

少なくとも、「女性のお笑いはつまらない」なんて声はまったく聞こえてこなかったし、それも収穫の1つにほかならない。

■次の“贔屓”は……無言から一転、タモリがカーリングに初挑戦!『タモリステーション』

『タモリステーション』より (C)テレビ朝日

今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、7月1日に放送されるテレビ朝日系特番『タモリステーション』(20:30~)。

「タモリが好奇心のおもむくままにさまざまな話題を鋭く掘り下げていく」というコンセプトの特番で、今回が3回目の放送になる。これまでは今年1月28日に「二刀流 大谷翔平の奇跡」、3月18日に「欧州とロシアの狭間で ウクライナ戦争の真実」を放送。後者ではタモリが1時間超にもわたって無言を貫いたことが大きな話題になり、この番組の指名度が一気に上がった感がある。

注目度を上げて迎える3回目のテーマは、「タモリ、カーリングを勉強する」。タモリは北海道・常呂町でロコ・ソラーレとのロケに挑むほか、スタジオではカーリング初体験。「猛暑日が続く今、なぜカーリングというテーマが選ばれたのか」「なぜテレビ朝日の本社スタジオに2日がかりでカーリングリンクを作ったのか」など放送前の段階から気になる点が多い。