今の高知男児も「土佐のいごっそう」なのか?

高知県の男性を「土佐のいごっそう」と呼ぶことがあるのですが、その意味には「酒豪」という意味もあります。しかし、実際はどうなのでしょう。そのほか知られざる高知県の実情を、統計データから探ってみましょう。

だから小中学校の数が全国トップ

まずは高知県の気候から。年間日照時間が2,154時間で2位(1981~2010年の平均値 全国平均1,897時間)、年間平均気温が17.0度で5位(全国平均15.2度)と、温暖で日照時間が長い特徴があります。また、年間降水量が2,548mmで1位(全国平均1,611mm)となっていて、植物が育つのに最適な環境です。実際、高知県ではこの気候を生かした植林が江戸時代から盛んで、人工林率も65.45%と全国2位です(2007年 全国平均41.23%)。

森が多いということは山も多く、高知県の可住地面積は16.4%と全国で最も狭いです(2001年 全国平均32.1%)。山の多さが生活に及ぼす影響のひとつとして、学校の数があげられます。通学の兼ね合いから統廃合が難しい山間部では学校が多くなる傾向があり、実際に高知県を見てみると、小学校は人口10万人あたり34.96校で1位(2011年 全国平均17.00校)です。また、中学校は7.94校で1位(全国平均8.41校)と、日本で一番小中学校が多いことが分かります。

高知男児はビールじゃ負けない!?

では冒頭にも触れた、「土佐のいごっそう」に迫ってみましょう。アルコール消費量は、成人ひとりあたり年間7.69リットル(アルコール換算 2009年 全国平均6.92リットル)と飛び抜けて多いわけではありませんが、ビール消費量は成人ひとりあたり年間72リットルで3位(2009年 全国平均54リットル)。こちらには「酒豪」らしさが表れています。

また、高知県と言えばカツオ。もちろん高知県のカツオ消費量は多く、年間5,863グラムはダントツの1位です(2008年 全国平均1,094グラム)。このカツオが、高知県でビールを更に進めているのかもしれません。もうひとつ、高知県で有名なのが高校野球。第1回大会からの通算勝率が6割1分5厘で2位と、データでも高知県の野球の強さが裏付けられます。

医療の充実で高齢者も安心

高知県の知られざる特徴のひとつとして、豊かな医療体制があげられます。病院数が人口10万人あたり16.09軒で1位(2012年 全国平均5.88軒)、療養病床数が人口100人あたり0.91床で1位(2012年 全国平均0.27床)、看護師数が人口1,000人あたり16.4人で1位(2008年 全国平均10.4人)。さらに、現役医師数は人口1,000人あたり2.74人で4位(2010年 全国平均2.19人)と充実の医療体制。

医療が充実しているおかげか、100歳以上高齢者数は人口10万人あたり79人で2位(2013年 全国平均43人)、65歳以上高齢者数も人口100人あたり28人で3位(2009年 全国平均23人)。このように高知県には高齢者が多く、お年寄りが安心して老後を過ごせるのも特徴と言えそうです。

高知県と他都道府県の相関図。温暖な気候のせいか、南九州とも似ている

700以上のランキングから、高知県の相関関係を筆者が割り出したのが上の地図です。赤は似ている県、青は正反対の県。黄色はどちらでもない県ですが、高知県は四国各県や南九州と似ているようです。

筆者プロフィール : 横道 文也(よこみち ふみや)

統計サイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性」主宰。様々なデータを都道府県という切り口から分析し、新たな「おむつとビール」を探すデータマイナー。時系列でデータを分析する「年次統計」や歴史年表を分析する「年表マニア」などのデータサイトも運営。