きっぶはまとめて買おう

例えば、東京から新幹線で大阪へ行く途中で、名古屋駅付近に住む友人宅を訪ねるとする。この場合、どんなきっぷを買うだろうか。まず東京から名古屋まできっぷを買い、名古屋で大阪までの切符を買う。それがわかりやすいけれど、ちょっとだけ損をしているのだ。東京駅で大阪までの乗車券を買い、名古屋で「途中下車」すれば運賃は安くなる。

乗車券は最終目的地まで買って「途中下車」しよう

上の図は、東海道新幹線の「のぞみ」号を通常期に利用した場合で比較している。まずは「その都度、きっぷを買う場合」を計算してみる。東京(都区内)から名古屋までは乗車券が6,090円、新幹線特急券が4,690円で小計10,780円。名古屋から大阪(市内)までは乗車券が3,260円、新幹線特急券が3.120円で小計6,380円。合計すると17,160円になる。

これに対し、「乗車券を東京(都区内)から大阪(市内)まで通しで買う」と8,510円。新幹線特急券は列車ごとに使用するため、同じ値段となる。計算すると合計運賃は16,320円。なんと840円も安くなる。なぜなら、乗車券は長距離になるほどkmあたりの単価が安くなるからだ。細切れのきっぷを使うよりも、長距離きっぷのほうが安くなる。名古屋駅を出て友人を訪ねる場合は、自動改札を使わず、有人の改札口で大阪行きの乗車券を見せて「途中下車します」と伝えよう。これで名古屋駅に戻ってから残り区間を利用できる。

旅の日程が決まっているなら、列車に乗るたびにきっぷを買わないほうがいい。あらかじめ窓口で、すべての行程に必要なきっぷを買ってしまおう。そうすれば、係員は通しのきっぷを発行して、「途中下車」で名古屋駅を出るよう説明してくれるはずだ。あるいは、その時期に販売されているもっとお得な企画きっぷを教えてくれるかもしれない。

「途中下車」とはどんな制度?

「途中下車」とは、「乗車券の有効期間中に、有効区間内の駅で改札口を出ること」を言う。「下車」と書くけれど、列車から降りるだけでは途中下車とは言わない。乗り換えや乗り継ぎのために列車を降りても下車ではなく、改札口から出ることを途中下車と言う。

きっぷの有効期間内であれば、後戻りしない限り何度でも途中下車できる。JRの場合、乗車券の有効期間は101~200kmまでが2日間、201~400kmが3日間、401~600kmが4日間と、200kmごとに1日ずつ増えていく。東京(都区内)から大阪(市内)までの乗車券は有効期間が4日間になるため、上の例の場合は名古屋で3泊できる。

「途中下車」は、長距離きっぷで旅行中に、途中の駅で終列車となって宿泊しなくてはいけない場合や、駅の外で食事をしたい場合を考慮して作られた制度だ。特急や新幹線が発達した現在では、長距離きっぷでもその日のうちに目的地に到着できる。しかし、昔はどこへ行くにも各駅停車だった。そんな時代から続いている制度である。

なお、途中下車を利用できないきっぷもあるので注意しよう。片道が100kmまでのきっぷ、大都市近郊区間内のみ有効なきっぷ、回数券は途中下車できない。短距離きっぷを買うと、券面に「下車前途無効」や「途中下車前途無効」と小さく書かれている。この表記は「このきっぷは途中下車できません」という意味だ。

また、乗車券以外の料金券も途中下車できない。料金券とは、特急券、急行券、グリーン券、寝台券、指定席券、乗車整理券、ライナー券などだ、これらは原則として、該当する列車のみ有効となるため、その列車を降りた時点で無効になる。

鉄道で同じ距離を移動するなら、短い区間のきっぷを複数使うよりも、はじめから終着地までの長距離きっぷを買ったほうが安くなる。きっぷの有効日数に気をつけて、「途中下車」を活用しよう。